2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02589
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渕野 裕 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (30566401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 育子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00613720)
野口 彩香 香川大学, 医学部, 技術補佐員 (40849288)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 早期産児 / 発達変化 / 近赤外分光法 / ヘモグロビン / neurovascular coupling |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の医療技術の進歩に伴い,早期産児の生存率は上昇している。しかし,周産期における明らかな脳損傷がない場合でも学齢期における発達リスクが高いことが報告されているが,原因は明らかになっていない。そこで,全頭型の近赤外分光法(near infrared spectroscopy, NIRS)を用い,複数領域の機能的な脳活動の縦断的な評価から,早期産児の後の発達リスクの早期発見を試みることを目標とした。 本年度は,特に,新生児期から出生後8ヶ月までの正期産児を対象に,触覚刺激を与えた時の脳活動の評価を行なった。最近,早期産児や胎児を対象に発達初期における脳機能研究も多く報告されるようになってきた。しかし,発達初期における感覚刺激(体性感覚野や視覚,聴覚など)に関連した脳血行動態について一貫した見解が得られておらず,成人と同様に,酸素化ヘモグロビン変化量(トータルヘモグロビン変化量)及びBOLD信号がpositiveな変化することが報告されているが,negativeな変化をすることも報告されている。一方,いくつかの研究では,脳血行動態は,発達に伴い変化している可能性が示唆されている。これまでの研究から発達初期における脳活動の多様性(個人間・個人毎の多様性)を説明できていないことから,本研究では,発生学的生理学的知見からヘモグロビン変化の発達変化モデルを作成し,正期産児を対象に触覚刺激を与えた時の脳活動の評価を行った。その結果,感覚運動野,補足運動野,前頭前野の広い範囲で刺激に関連した脳活動が観察され,領域毎,月齢毎による特徴がみられた。今後,領域毎,月齢毎の特徴,さらに個人内・個人間の特徴が何に起因するのか詳細に検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は早期産児を対象に脳機能計測を行う予定であったが,新型コロナウィルス感染が世界的に拡大したため,研究参加児及び研究者の感染予防を第一に考慮し脳計測を中断した。今年度は,これまでの研究で取得した,正期産児のデータを解析し,国際誌に投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染の拡大・収束状況を考慮し,計測の実施・中止を決定する。 新型コロナウィルス感染が早期に収束した場合は,早期産児を対象とした脳計測を再開するとともに早期産児群及び正期産児群の脳機能データの詳細な解析を行う,さらに,論文化を進める。新型コロナウィルス感染の収束に時間を要した場合は,取得済みのデータのみで解析を行い,論文化を進める。また,行動指標について順次追跡調査を行い,周産期における脳機能データ及び行動指標の関係性から後の発達リスクの関係性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大予防のため,香川大学での計測を中止した。そのため,NIRS計測用光ファイバの交換の必要性がなかった。さらに,計測のための旅費が必要なかった。次年度の光ファイバ及び旅費に充てると共に,解析用パソコンの購入に充足する。
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