2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02589
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渕野 裕 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (30566401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 育子 香川大学, 医学部, 准教授 (00613720)
野口 彩香 香川大学, 医学部, 技術補佐員 (40849288)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | neurovascular coupling / developmental changes / 近赤外分光法 / infancy / 触覚刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳機能発達の観点から早期産児における後の発達リスクの予測子を発見することを目的とした。昨年度に引き続き,発達初期における脳血行動態の評価及びその多様性を説明するためのモデルの構築を行なった。 Neurovascular couplingは,神経活動に伴う脳血流が局所的に増加する現象である。非侵襲的な脳機能イメージング法である,functional magnetic resonance imaging(fMRI)や近赤外分光法(near infrared spectroscopy: NIRS)などは,この現象を応用して脳・神経活動を間接的に評価している。健康な成人において,NIRSを用いた研究では,神経活動に伴い酸素化ヘモグロビンの増加と脱酸素化ヘモグロビンの減少が観察され,fMRI研究では,blood oxygenation level-dependent(BOLD)信号の増加が観察される。しかし,胎児や早期産出生児などを対象とした研究では,必ずしも成人と同様の血行動態応答が観察されず,非典型的な応答(酸素化ヘモグロビンの減少と脱酸素化ヘモグロビンの増加,negative BOLD)が報告されている。ヒト及びラットを対象とした研究から,成長に伴いこの応答の特徴の変化が報告されており,刺激開始から応答のピークまでの時間が発達に伴い速くなる,Positive BOLD信号が発達に伴い増加する,BOLD信号の振幅平均が大きくなることが報告されている。しかし,本グループのこれまでの研究において,より長期的な脳血行動態応答の評価では,より複雑な発達変化が示された。本年度は,脳血行動態に関与する要因のうち出生後に発達の影響を受ける要因を推定し,触覚刺激に関連した脳血行動態の時間変化の発達変化モデルを構築し,新生児から生後8ヶ月までの正期産児を対象とした実測データと比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染が世界的に拡大したため,研究参加児及び研究者の感染予防を第一に考慮し脳計測を中止し,当初の予定を変更し実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
取得済みのデータのみで解析を行い,論文化を進めると共に発達初期における脳活動モデルの精緻化・一般化を検討する。また,行動指標について順次追跡調査を行い,周産期における脳機能データ及び行動指標の関係性から後の発達リスクの関係性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
モデル再作成・再解析のため,論文投稿まで至らなかったことから,その費用を次年度に使用することとした。
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