2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02599
|
Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 麻理 (平栗麻理) 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 高周波音 / 超高周波音 / 子ども / 環境騒音 / 可聴閾値 / 生理反応 / ストレス / 不快感 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本ではこれまで着目されてこなかった超高周波音による騒音から子どもの安全な音環境を担保することを大目的として,子ども及び,若齢者の16 kHz~32 kHz程度までの高周波の聴覚閾値を精神物理学的手法及び,生理反応確認,高周波の聴こえに関する聴覚メカニズム解明のための基礎的知見を得ること及び,超高周波音の計測方法の確立,超高周波音の実態を明らかにするための音響計測を行った.高周波音純音聴力閾値の上限周波数については,小学生・中学生らを対象とする前に計測環境の構築を行い本年度は10代後半(高校生・大学生),20代前半の(大学生),20代後半以上の様々なヒトへの聴力閾値の計測を行った.対象者は合計84名である.20代前半は70割程度が20 kHzの純音(検査音)を99 dB以下で聴取可能であることが分かった.一方で,20代後半から60代までは年齢とともに可聴可能な上限周波数が低い傾向が確認された.生理反応確認のための実験環境の準備を行った.音響計測は,計測方法構築のためにさまざまな手法やデバイスを用いた計測を行った.現在マイクロホンの校正等について引き続き検討中である.超高周波音の実態調査の結果,HV・EVなどの自動車の車内からも16 kHz以上の超高周波音が曝露されていることが分かった.特にブレーキング,加速時に発生頻度が高いことが分かっている.屋外で自動車走行音を計測した際も16 kHz程度の超高周波音が発生していることが分かったが,発生条件や車種の特定が困難なため引き続き計測を行っている.また,ヘアドライヤー,冷蔵庫,掃除機,IH調理器など様々な家電製品からも16 kHz以上の音の発生が確認された.特に可聴可能な人にとっては強い不快感を伴うことも確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高周波音の音響計測,計測方法の確立,特に若齢者の聴覚閾値(上限周波数)の計測は順調に進んでいる.研究成果の発表の機会を数回得たが,海外との共同研究へと発展する或いは,申請者らの専門外の学識者との共同研究へと発展するなど研究の発展も見込めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響を受けて,対面型の実験や音響計測は一時的にストップしているが,実験可能な状況になり次第研究が遂行できるよう準備している段階である.協力研究者らとも国内外問わずオンラインによる打合せを定期的に開催し情報共有,不要不急の外出をせずに計測等の研究が発展するような展開を検討している.
|
Causes of Carryover |
計測器のアカデミック割引により当初予定していた金額よりも少なくなったため,残金が生じたため.
|
Research Products
(6 results)