2020 Fiscal Year Research-status Report
熟達保育者の個と集団への関わりの可視化と保育者の育成に向けた教材開発
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19K02607
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Research Institution | Sapporp International Junior College |
Principal Investigator |
岡部 祐子 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 准教授 (80597899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 茂 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (90183516)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育の質 / 熟達保育者の経験知 / 保育者育成の教材開発 / VideoInteractionGuidance |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、①2019年度の研究成果を発表すること、②収集したデータと修正メッセージの検討を行い教材の完成を目指すこと、③完成した教材を用いたVIGを実施し効果の検証を行うことを計画した。さらに2019年度の調査結果から④熟達保育者の3歳以上児への保育映像も収集する必要性が生じ対応が求められている。一方、新型コロナ感染拡大の影響によって、保育現場での調査、学生や保育者への対面でのVIGの実施、新たな保育映像収集が難しい状況は現在も変わりない。こうした状況から、①~④のうち、かろうじて達成できたのは①のみである。②は、保育者養成に携わる教員、発達心理学・教育学を専門とする研究者ら、認定こども園の施設長、職員等に検討してもらい、教材とする一定程度の妥当性は得られた。③については、23名の学生を対象に特例措置として行った「学内実習」での演習の一つとして試みた。様々な制約から完全なVIGとして行うことは困難で、予行として行った。予行では、a学生が視聴して個々の気付きを書き留める、b友達と対話して加筆する、c熟達保育者のガイダンスを視聴して、それらを照らし合わせるという手続きを取った。分析は、チャプタごとの記述項目数のカウント、頻出Wordの順位に着目した。その結果、自由度の高い場面での記述が多いこと、頻出Wordは環境構成に関わるWordが上位に挙がった。熟達保育者の実践は、保育者主導の場面より、子ども主体の場面に注目が集まったことから、「環境を通して行う」保育の原則に沿って行われていることが再認識され、教材適用によって、熟達保育者の実践への理解が進む結果となった。また、適用の精緻化に向けて、後の要因分析を視野に、対象学生らに対し、佐藤(2007)らの調査を参考に「保育学生のBilief」に関する調査も同時に行った。結果の相関等については、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要で述べたように、「個と集団の育ち」に関する熟達保育者の経験知を保育者の育成に生かすためには、④熟達保育者の3歳以上児への保育映像も収集する必要がある。しかしながら、新型コロナ感染拡大下にあっては、長時間の観察、複数名で行う収録等について、第一に保護者の理解について見通しが立たなかった。所在する地域には、現在も緊急事態宣言が発令されており、保育者らは、日々神経を張り詰めながら子どもたちの保育にあたっている。保育現場に対し、今以上の負荷をかけることは避けたいと考える。加えて、対象とする学生も遠隔授業を中心とし、調査の実施も困難な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の理由で述べたように、抗いようのない状況に置かれてはいるが、新型コロナ感染状況の改善を見たとき、つぶさに収録や調査にとりかかれるよう、準備を重ねていく。 一方で、2020年度の予行において、対象者らに「保育学生のBilief」に関する調査を行っている。記述の分析結果との相関について分析をすすめたい。また、映像教材を保育者養成を行っている研究者らに依頼し、適用の可能性について調査分析するという手立ても考えられる。これらのうち、可能なことから研究を推進し、研究目的の達成を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大によって、保育現場に入ることができないため、調査・資料の収集は停滞している。終息の見通しが立てば、3歳以上児クラスでの熟達保育者のヒアリング、並びに実践の撮影が可能となり、教材作成に取り掛かることができる。初年度経験した手順を持って、教材を多面的に分析したのち、学生および現職保育者らに対し、VIGを実施する予定である。
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Research Products
(2 results)