2019 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の「プログラミング的思考」を育成する「表現遊び」題材の開発と実践
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19K02609
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
橋本 忠和 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70709617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 亮 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00294182)
金光 秀雄 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20214489)
山口 好和 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30271018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プログラミング的思考 / 表現活動(造形・音楽・身体・言葉等) / プログラミング体験 / 「表現遊び」題材を開発 / プログラミング教育の基礎 / 幼児教育 / 情報処理能力の育成 / フィジカル・プログラミング教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,幼児期において将来のプログラミング教育の基礎となる「プログラミング的思考」を育成するために「プログラミング体験(ヴィジュアル系・フィジカル系・アンプラグド系)」と「表現活動(造形・音楽・身体・言葉等)」とを主体的・対話的で深い学びを創出する「遊びのプロセス(遊びの創出・遊びの没頭・遊びの振り返り)」の中に効果的に組み込んだ「表現遊び」題材を開発するものである。 初年度に於いては,幼児教育におけるプログラミング的思考育成に関する書籍,論文の先行研究の分析・検証を進めると共に,幼児教育において情報処理能力の育成やITC機器の活用,それに関わる教育の研修,フィジカル系の活動への理解度を調査するため,国立大学法人の附属園,北海道国立公立幼稚園・こども園,函館市内の公立・私立幼稚園・こども園を対象にアンケート調査を行い,文部科学省が行った同種の先行アンケート結果と対比して,幼児教育におけるプログラミング的思考育成の現状を把握・分析中である。 また,本学附属函館幼稚園の3から5歳児,及び本学附属函館小学校2,3年生,本学附属函館中学校美術部を対象にフィジカル・プログラミング教材を活用した授業実践を行い,その成果を分析中であり,本学附属函館幼稚園の実践に関しては,研究代表者が学会論文に投稿し,査読を経て掲載が決定している。さらに,共同研究者の江藤は,自ら開発中の絵を音に変換して遊ぶタブレット用ソフト開発を進めるために,函館市において保育者や音楽・工学教育の研究者へのソフトに関する評価(改善点等)の聞き取りや,次年度の検証実践場所の確保に努めた。さらに,共同研究者の山口は,函館・北斗市内の公立学校におけるプログラミング教育導入に関する助言・指導を行い,共同研究者の金光においては,ICT活用教育と幼稚園・小学校・中学校との連携や自身のアルゴリズムに関する研究の成果を論文にまとめ公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において,①幼児等へのプログラミング的思考育成の実態調査及び「表現遊び」とプログラミング的思考との接点調査と②プログラミング的思考(情報教育)研修・シラバス関わる実態調査に関しては,学校における教育の情報化の実態等に関する調査の設問やミッチェル・レズニック等の創造的思考を育むための指導法に関する先行研究を参照にアンケート設問を設定し,大学の倫理審査委員会の審査,承認を得て,2020年1月から3月にかけて,文部科学省が国立大学法人の附属園,北海道国立公立幼稚園・こども園,函館市内の公立・私立幼稚園・こども園(166園・所)を対象にアンケートを実施し,3月末現在で50%(83園・所)の回収を得ており,現在,その分析を進めている。続いて,③幼児のプログラミング的思考を育成するプログラミング体験の題材開発及び健康上等の課題に関する調査,④幼児期におけるプログラミング的思考を育成する「表現遊び」題材開発と異校種連携カリキュラムの構築に関しては,幼児がシールとマジックを使ってプログラミングできるロボットを使った授業実践を本学附属函館幼稚園・小学校・中学校で実施し,その授業実践の動画,児童・生徒による授業アンケートの分析を進めている。さらにタブレット・スマートフォン使用と健康に関しては,本学附属函館幼稚園保護者を対象に2019年6月にアンケートを実施し,その分析・検証結果については論文等において活用している。さらに,ヴィジュアル系プログラミング教材については,江藤がその開発を進め,該当年度においては函館市等において保育者や音楽・工学大学教員への聞き取り調査を行い,開発ソフト改善点の洗い出しと次年度の検証実践場所の確保をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画②プログラミング的思考(情報教育)研修・シラバス関わる実態調査に関して,初年度におこなったアンケートの集計を進めるとともに文部科学省が行った同種の先行アンケート結果と対比して,幼児教育におけるプログラミング的思考育成の現状を把握・分析を行う。加えて,初年度,主研究者が附属園長等(全国附属組織理事等)の業務のため,時間が確保できず未実施だった先進校への視察・調査をコロナウイルスの教育現場の影響を考慮しながら実施する。 また,③プログラミング的思考を育成するプログラミング体験の題材開発を進めるため,初年度に購入したロボット(オゾボット・ボルト)やマイコンボード,ドローン等や,それらを幼児から生徒が作りたいもの,活用したいもののイメージを具体化するための3Dプリンター(橋本研究室と本学附属函館中学校に設置)等を有効活用する。 さらに,⑤幼児のプログラミング的思考育成題材やカリキュラムの妥当性を整理し改善するための「ヴィジュアル系・フィジカル系・アンプラグド系」のプログラミング教材の検証実践の実施に関しては,附属学校園に加え,コロナウイルスの教育現場の影響を考慮しながら,函館市近郊の学校園やITC体験施設において実施し,その実践内容の分析を進めると共に,先のアンケート分析に関連付けて,本研究にテーマに関わる論文を作成し,学会等に投稿し,研究内容を発信する。
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Causes of Carryover |
旅費で予定していたプログラミング的思考(情報教育)研修・シラバス関わる研究先進校等の視察・調査に関しては,研究代表者が附属園長等(全国附属組織理事等)の業務のため視察時間,スケジュールが確保できなかったり,コロナウイルスの影響等のため実施できなかった。また,研究の経過を報告・発表する学会に関しては,コロナウイルスの影響のため学会が開催されず,参加できなかった。 物品に関しては,今年度購入予定で発注していた物品の一部(プリンターや教材開発用パーツ)が業者の都合で納入が4月以降となり,年度内の経費執行ができなかった。
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Research Products
(7 results)