2019 Fiscal Year Research-status Report
Building Administrative Organization for Child-Friendly Policies and Programs in Cities
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19K02630
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
高木 清江 愛知産業大学, 造形学部, 准教授(移行) (00387870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 努 愛知産業大学, 造形学部, 教授(移行) (30288568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子どもにやさしいまちをつくる / 施策実施体制 / 総合性理念追求型 / 連携・役割分担・組織機構構築型 / 調整型 / 協力・共通認識重視型 / 統合部局統括型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等において、その総合性を実現する上での課題と施策実施体制ないし行政施策上の対応方策(統合、連携、調整、組織機構構築など 「統合等」とする)を明らかにすることを目的とするものである。平成31・令和元年度(第1年度)は、愛知産業大学と包括連携協定を締結し、これまでその協力を得て研究を実施してきた岡崎市において、子ども関係施策担当部局(総合政策部、都市整備部、こども部など11の部および教育委員会事務局)への詳細インタビュー調査を実施した。これにより、子ども関係施策の実施に関わる行政の実態について基礎的知見を得ることができた。他の都市、こども環境学会等の学会関係研究者への調査も引き続き行う計画であったが、移動、訪問の抑制が求められる社会的な状況変化もあり、次年度以降の継続課題とした。 本研究のための資料としては、全国都市アンケート調査より子ども関係施策担当者の意見も得られており、多変量解析によるその回答の詳細な分析をあわせて行った(記述総数195都市587例、統合等の関連記述63都市129例)。子ども関係施策実施上の課題は、一般的には経営の三要素であり事業実施に不可欠とされるヒト(人員・人材)、カネ(財政・予算)、モノ(施設・空間)とともに、情報、時間、組織機構、市民意識、国や県の制度などであるが、統合等に着目すれば、主要課題は、部局単独事業の限界、縦割行政・多主体調整、福祉行政・教育行政などの異なる制度による制約、施策の不整合(ばらばらな取り組み)の4類型、主要対応方策は、総合性実現の理念追求型、連携・役割分担・組織機構構築型、調整型、協力・共通認識重視型およびほとんど事例が認められない統合部局統括型の5類型があり、その組み合わせとして対応すべき課題と総合性実現に向けた施策実施体制ないし行政施策上の対応方策が構想できるとの仮説を立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31・令和元年度(第1年度)は、移動、訪問の抑制が求められる社会的な状況変化の中、他の都市、こども環境学会等の学会関係研究者への調査は次年度以降の継続課題とすることとなったが、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等においてその総合性を実現する上での課題の点検、施策実施体制ないし行政施策上の対応方策の点検、子ども関係施策担当者の意見にもとづく事例収集は着実に進められてきた。とりわけ、今後の詳細な分析のための基本的な仮説が構築できており、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度(第2年度)は、以下の検討を中心に進め、最終年度の研究成果とりまとめをめざす。 (1)子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等の総合性概念の確立-施策実施数データの多変量解析により、施策事例を類型として整理し、その領域的広がりをもって施策等の総合性を定義する。これにより、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等は、子どもの権利等の制度的位置づけや子ども・子育て支援の各種施策のみでなく、児童館・あそび施設の整備、子ども文化等の体験活動など広範な領域に及んでいて、その統合等が課題となることが確認できる。 (2)子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等の総合性実現上の課題の整理-子ども施策担当者意見の系統的内容分析より、部局単独事業の限界、縦割行政・多主体調整、福祉行政・教育行政などの異なる制度による制約、施策の不整合(ばらばらな取り組み)が主要課題として上げられている。担当者意見をもとに、これらを中心に、各課題の特徴、相互関係、類型などを詳細に分析する。 (3)子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等の総合性を実現する方策の整理-施策担当者意見の系統的内容分析より、総合性実現の理念追求型、連携・役割分担・組織機構構築型、調整型、協力・共通認識重視型および統合部局統括型が主要方策として上げられている。実施事例は多くないため、事例の系統的収集は困難であるが、あわせて、各種方策の特徴、相互関係、類型などを詳細に分析する。 (4)子どもにやさしいまちをつくる都市の施策等の総合性実現上の課題への対応とその実現に向けた施策実施体制ないし行政施策上の対応方策の選択は、上記主要課題と主要方策の組み合わせとして可能となる。そこで、担当者意見の系統的内容分析結果とあわせて、子ども施策担当者やこども環境学会等の学会関係研究者へのインタビューを補足的に実施し、分析結果の検証を試みる。
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Causes of Carryover |
平成31・令和元年度後半に予定していた岡崎市以外の都市の子ども施策担当者およびこども環境学会等の学会関係研究者へのインタビュー調査が、移動、訪問の抑制が求められる社会的な状況の変化のため実施困難となり、次年度への繰り越しをすることとした。そのため次年度使用額が生じることとなった。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画では、移動、訪問の抑制とオンラインによる通信の比重増大などは今後とも見込まれるため、交通費への配分をそのままとせず、プリンタ・トナー、分析ソフトなど研究上必要となるその他の消耗品費、論文発表費用など(「その他」)に配分しなおすこととした。
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