2020 Fiscal Year Research-status Report
幼児の自立起床を促す生活習慣がストレス応答に及ぼす影響
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19K02633
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
岸本 三香子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (80312130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 亜由美 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (50321146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幼児 / 食事介入 / 腸内細菌叢構成群 / クロノタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
〈目的〉幼児の生活リズムの夜型化や不規則な睡眠は生体調節機能に大きな影響を与える。本研究では自立起床を促す食事や生活習慣が腸内細菌叢構成群に及ぼす影響を検討した。 〈方法〉私立幼稚園児10名(5歳児)とその保護者を対象とした。保護者には幼児の生活習慣アンケート、生活活動記録、食事記録、食事写真を依頼した。また、幼児は採便を行い、検体よりDNAを抽出し、16rRNAのV1-V2領域をターゲットに解析した。調査は2019年9月(介入前)と10月(介入後)の連続する3日間とした。クロノタイプの朝型の特徴から、クロノタイプの前進を期待して、介入23日間の朝食時のたんぱく質摂取量を10g以上となるように依頼し、腸内細菌叢とその変化について解析を行った。 〈主な結果〉1. 対象者をクロノタイプ・健康度・食物繊維摂取量・生活状況・朝食における食品摂取頻度・風邪のひきやすさから2群に分けて比較した。腸内細菌間の類似度では、クロノタイプの朝型と中間型の類似的距離が近い傾向がみられた。同様に生活リズムが規則的な群と健康度が高い群において類似的距離が近いことが確認された。腸内細菌叢の多様性を確認するためにα解析を行ったところ、朝型は、中間・夜型に比べて有意に多様性が高い傾向がみられた。生活リズムが規則的な群と健康度が高い群においても同様の結果が得られた。2. 介入後に朝食のたんぱく質摂取量が増加した群(増加群)と減少した群(減少群)に分けて、腸内細菌叢との関連性を検討した。多様性は介入前後では両群間に差は認められなかったが、介入後の増加群は増加傾向を示し減少群では低下傾向を示した。幼児においても生活習慣と腸内細菌叢は関連があることが認められた。朝食におけるたんぱく質摂取の増加により腸内細菌叢の改善がみられ、免疫機能の向上の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、幼児に生活習慣及び食改善教育を行うことにより自立起床を促すことによる唾液ストレス応答に及ぼす影響を検討し、幼児の望ましい生活行動を提案する。 調査項目として、アンケート調査のほかに、体温及び唾液コルチゾール濃度の測定、食事調査がある。さらに幼児の活動水準を把握するため、Fitbit Inspire HR(Fitbit社製)装着により歩数及び睡眠時間、睡眠の質を測定する。本調査では、R1年度では対象者10名に対し唾液コルチゾール濃度と睡眠や食事との関連を検討することができた。R1年度に引き続きR2年度も同様の調査分析を行う予定であったが、コロナ感染拡大により、対象者である幼児や保護者に一連の調査、唾液の採取の協力を要請することができなかった。R2年度はR1年度に採取した便サンプルにより腸内細菌叢を解析し、食事や生活習慣が腸内細菌叢構成群に及ぼす影響を検討した。幼児の生活リズムの夜型化や不規則な睡眠は生体調節機能に大きな影響を与えるが、腸内細菌叢は生活習慣や食生活と関連があるといわれているが、幼児における詳細な報告は少ない。R2年度では幼児の腸内細菌叢構成群に及ぼす影響を検討したところ、幼児においてもクロノタイプや規則正しい生活習慣や健康度と腸内細菌叢は関連があることが認められた。また、保護者の協力により約1か月間の朝食時のたんぱく質摂取量を増加させるという、食事介入を実施することが可能となったことから、介入前後の腸内細菌叢を比較したところ、朝食におけるたんぱく質摂取の増加により腸内細菌叢にも改善がみられた。望ましい生活習慣や食習慣は、免疫機能の向上に寄与することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年までの方法を踏襲し、対象者の睡眠覚醒リズムを含む生活習慣に関するアンケート、体温及び唾液コルチゾール濃度の測定、活動水準の測定、食事調査を行う。また腸内細菌叢構成群との関連についても検討を行う。昨年の幼児は、比較的生活習慣も整っており食事内容も良好であった。今後は、さらに対象者を広げて調査する予定である。 コロナ感染拡大により研究が制限されているため、対象者による唾液の採取が困難と推察された場合は、研究方法を一部変更して実施する予定である。本研究では幼児に生活習慣及び食改善教育を行うことにより自立起床を促すことにより、幼児の望ましい生活行動を提案することである。自立起床と生活習慣について対象者を増やしてアンケート調査による解析を加えたい。
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Causes of Carryover |
本研究では、幼児に生活習慣及び食改善教育を行うことにより自立起床を促すことによる唾液ストレス応答に及ぼす影響を検討し、幼児の望ましい生活行動を提案する。調査項目として、アンケート調査のほかに、体温及び唾液コルチゾールの測定、活動水準の測定、食事調査がある。 R1年度に引き続きR2年度も同様の調査分析を行う予定であったが、コロナ感染拡大により、対象者である幼児や保護者に一連の調査、唾液の採取の協力を要請することができなかったため、R1年度に採取したサンプルにより、腸内細菌構成群の解析を行った。費用は現時点で使われていないために予定金額に満たなかった。 R3年度は、R2年度に実施するはずであった調査を行い、生活習慣及び食改善教育を行うことにより自立起床を促すことによる唾液ストレス応答に及ぼす影響を検討する。
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Research Products
(1 results)