2021 Fiscal Year Research-status Report
子どもの貧困と体力・スポーツ格差に関する実証的研究
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19K02639
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
清水 紀宏 筑波大学, 体育系, 教授 (50196531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 晃章 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30343726)
中野 貴博 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (50422209)
朝倉 雅史 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50758117)
鈴木 宏哉 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (60412376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 体力・スポーツ格差 / 社会的排除 / 格差是正・縮小 / エフェクティブスクール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スポーツにおける「公正・平等」を推進しようとする国内外の潮流を背景に、わが国の子どもたちが、個人のあらゆる条件に関わらず誰もがそのニーズに応じて適切なサービスを受けられるスポーツ機会への普遍的アクセスはいかにしたら可能か、を検討しようとするものである。 本年度は、前年度に設定した研究課題ごとに設計された調査及び体力・運動能力データの収集等を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症が広がる現状に鑑み、調査対象地域の教員委員会と協議し、調査の実施を年度末とした。そこで、本年度は、体力・スポーツ格差への対策を講ずべき最前線にいる教員たちが、子どもたちの間にある体力および運動・スポーツ習慣に関わる格差をどのように捉え、どのような対策をとろうとしているかについてヒアリング調査を実施した。具体的には2つの自治体の小学校教諭8名および校長1名に半構造化インタビュー(オンライン)を行った。質問項目は、体力格差や不平等に関する一般的認識と勤務校の児童に関する所感、そしてそれらに対する対策を学校として講じているか否かを柱に構成した。分析の結果、学校現場の教員は確かに子どもたちの間に体力・スポーツ格差が存在することを共通に認識していることが明らかになった。ただし、その認識の程度は個々の教員がいかにそのことを深刻な問題として受け止めるかに左右される傾向があり、また、子どもの普段の様子から体力格差が生じていることについての気づきを得たとしても、子どもの家庭背景や経済状況に関するプライベートな情報収集が難しいため、格差要因を特定するには一定の障壁が存在することが明らかになった。なお2021年度調査では、効果的な取り組みを行っている事例を特定するには至らなかったため、ヒアリング調査および事例の収集を継続していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象地域(岐阜県多治見市)の公立小・中学校に通う児童生徒及び保護者へのアンケート調査を2021年度年度初めに実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染状況に配慮し、調査の実施を2021年度末に遅らせざるを得なかった。このため、2021年度中を予定していた、データ整理・入力、基礎統計の分析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度末に実施・・回収した質問紙調査および体格・体力・運動能力調査及び学力検査のデータ分析を行う予定である。同調査を実施した2018年調査データとリンクさせて入力する。特に、4年間の子どもたちの体力・運動能力等の変容と家庭の社会経済的条件との関連性を分析することで、体力・スポーツ格差をめぐる現象の因果関係を特定する。 また、教員調査については、必要に応じてオンラインでヒアリングを追加実施し、また、郵送法のアンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、児童生徒及び保護者を対象としたアンケート調査の実施を2022年2月~3月に実施した。このため、データ入力・分析・考察及び研究の総括を次年度まで延長することとした。
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