2020 Fiscal Year Research-status Report
The creation of a database of teacher-children and children's peer interactions in Japanese daycare centers and the investigation of children's communicative development
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19K02641
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
深田 智 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (70340891)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集団保育・集団教育 / インタラクション / ことば・うごき / 発達 / 多様化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、子どもたちが、集団保育・集団教育の中で多様な他者とかかわりあいながら、様々なことばやうごきを獲得し、柔軟な表現力やコミュニケーション力を身につけていく過程を明らかにすることを目的としている。そのため、集団保育・集団教育の現場での実地調査を行い、子どもと指導者、あるいは、子ども同士のインタラクションのデータベースを構築しながら、ことばとうごきという2つの観点からこの種のインタラクションを分析してきている。 令和2年度は、研究代表者が継続して行ってきている子どもたちを対象とした身体表現活動セッションを1度実施するとともに、これまでに採取してきたデータを保育や発達に関する先行研究の知見と照らし合わせながら再検討した。その成果の一部は、担当した書籍の章の中に反映され、本研究を通して行ってきた考察は、書評執筆と共同研究への知見提供の基盤となった。また、各種学会や研究会、講演会やセミナーにも、本研究に関連する話題が提供される際には例年以上に積極的に参加し、インタラクションや共創、信頼感の構築、子育ての文化差などに関する新たな知見を得た。加えて、発達科学、スポーツ科学、幼児教育、認知科学、言語学、文化人類学等の専門家とは、時に互いのデータを示しながら議論を重ね、また、集団保育の実践家である保育士や児童厚生員等とも折に触れて意見交換を行い、自身の考えを深め、研究を発展させる新たな糸口を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大を受け、保育園や学童といった集団保育・集団教育の現場でのデータ採取は控えざるをえなかったが、それでも、子どもたちを対象とする身体運動セッションを1度実施し、これまでのデータとの比較を通して、子ども同士のことばとうごきを介したやりとりの変遷や、子どもたちが指導者と保護者、研究補助者となった大学生・大学院生を異なるタイプの大人と位置づけてインタラクトしている様子を観察することができた。また、学会や研究会等の会場に赴いて各専門家と意見交換することはできなかったが、これまで築いてきたネットワークをもとに、関連分野の研究者とはオンラインで議論することができた。さらに、研究当初、2~3年目に行う予定としていた検証実験はできなかったものの、学会や研究会等への参加を通して、発達や保育・教育、子育てに関する知見を深め、新たな分析視点を得ることもでき、令和3年度以降に本研究をさらに発展させるための手がかりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
集団保育・集団教育の現場でのデータ収集を引き続き行うとともに、データの書き起こしとアノテーションを行う。ただし、新型コロナウイルス感染症対策のために、指導者も子どもたちもマスクを着用し、大声は出さない状況となっている。そのため、令和3年度に採取するデータに関しても、令和2年度同様に、音声データは採取しにくく、書き起こしが難しくなることが予想される。それでも、マイク等の使用も視野に入れながら、可能なかぎり音声データを採取して書き起こしを行い、うごきに関しては詳細なアノテーションを行う。また、継続して採取している子どもたちの身体運動セッションのデータに関しては、その分析を通して子どもたちのインタラクションの経年変化を追う。ことばとうごきという2つの表現手段のバランス、対話相手や対話場面に応じたことばの使い分け、運動の幅とその精度などに注目して検討を加え、年に1~2回のセッションを通して、異年齢の子どもたちが互いにどのような関係を築いていき、また、多様な他者に対してどのようにインタラクションの手法を変えていくのかを考察する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した主な理由は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、出席や発表を予定していた国内外の学会や研究会等が中止もしくはオンライン開催になったこと、また、保育園や学童等での実地調査ができず、子どもたちを対象とした身体運動セッションも1度しか実施できなかったことにある。そのため、予定していた旅費が不要となり、調査・実験の協力者や補助者に対して支払う謝金も予定していた額よりも大幅に少なくなった。 令和3年度は、学会や研究会等が現地開催され、国内外への移動が自由になり次第、現地に赴いて、関連研究を行っている専門家と率直に意見交換する。また、仮にオンライン開催のみとなった場合でも、学会や研究会等には積極的に参加し、文献情報を含む多様な情報を得る。加えて、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい次第、保育園や学童等での実地調査や特別セッションを再開してデータを採取する。これが実現できなかったとしても、これまでに収集したデータを見直し、分析を通して得られた知見を、関連分野の研究者や集団保育・集団教育の実践家に提供して意見を求め、より説得力のある考察へとつなげる。その成果は、英語でのジャーナル投稿や書籍への寄稿等を通して発表する。以上のように、令和2年度に生じた未使用分は、旅費、書籍等の購入費、研究協力者や研究補助者、情報提供者への謝金、英文校閲料等を通して有効活用する。
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Research Products
(5 results)