2022 Fiscal Year Research-status Report
The creation of a database of teacher-children and children's peer interactions in Japanese daycare centers and the investigation of children's communicative development
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19K02641
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
深田 智 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (70340891)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インタラクション / 集団 / ことば・うごき / 関係構築 / 調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、集団保育・集団教育という環境の中で、子どもたちがどのようにしてことばとうごきをはじめとする自身のインタラクション手段を調整し、多様な他者とのインタラクションを可能にしているのか、また、そこにはどのような発達的な変化がみられ、その際に養育者はどのようなことばがけをしているのかを、実地調査も行い、分析のベースとなる多様なデータを蓄積しながら明らかにすることを目的としている。令和4年度は、主として、子どもたちを対象とした身体表現活動セッションを実施して経年データを採取するとともに、英語を母語とする養育者-子どもインタラクションにも注目してCHILDESからデータを採取し、日本語との比較を通して子どもへのことばがけに関する文化を超えた普遍性と個別性について検討した。その成果の一部は、学会でのシンポジウムでの発表という形として公表され、また、出版が予定されているジャーナルの書評や書籍の担当章の原稿などにも反映された。さらに、人工知能、発達科学、認知心理といった関連分野の研究者との共同研究においては、本研究で得られた知見を提供し、議論の深化に寄与するように努めた。その成果は、共著者あるいは筆頭著者としての学会発表などに見られる。その他、発達や進化、言語獲得やインタラクション等に関する話題が提供される学会や研究会、講演会やセミナーにも積極的に参加して知見を広げ、人-人インタラクションにおけることばの役割、あるいは、他者との関係構築におけることばの役割について考えを深める機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 新型コロナウイルス感染症拡大・蔓延の影響を受け、保育園や学童といった集団保育・集団教育の現場でのデータ採取は実施できず、また、最終年度に行う予定であった検証実験はできなかったが、これまで検討してきた一部の日本語のデータをそれに該当する英語データと比較し、養育者の子どもへのことばがけに文化を超えた共通性が見られるのかを検討し、その成果の一部を学会のシンポジウムで口頭発表できた。また、本研究で得られた知見をもとに、中学校や高等学校での講演や小学校での授業実践なども行い、子どもたちから率直な反応を得るとともに、子どもたちを対象とする身体表現活動セッションを通して、ことばを用いて意見交換しながら、次の行動に向けて互いの意見を調整していく子どもの姿を観察できた。さらに、人のことばやうごき、進化や発達、インタラクション等が関わる学会や研究会等には可能な限り出席して知見を広げ、共同研究を行っている研究者や関連分野の研究者ともオンラインあるいは対面でディスカッションの機会を持ち、互いに知見を提供し合うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、子どもたちを対象とする身体表現活動セッションを行い、その経年データを採取するとともに、これまでに採取してきたデータを整理し、発達に伴う子どもたちのインタラクションの形態の変化を、ことばを中心に、うごきや距離の取り方、視線等にも注目して、主として質的な観点から検討する。また、令和4年度に行った養育者のことばがけに見られる日英語の異同に関する議論を深め、子どもに行為や思考を促す養育者のことばとはどのようなことばであるか、などを明らかにする。加えて、他者との関係構築や関係調整のことばにも注目し、養育者と子ども、あるいは、子ども同士が互いにどのようなことばを用いて関係を築き、互いに意見を調整しながら共同行為を行っていくのかについても検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した主な理由は、令和3年度同様、新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延に伴い、参加を予定していた国内外の学会や研究会がほぼすべてオンライン開催となったこと、また、子どもたちを対象とする身体表現活動セッションが1度しか実施できなかったことなどによる。そのため、予定していた旅費が不要となり、調査協力者や調査補助者に対して支払う謝金も予定していた額よりも大幅に少なくなった。令和5年度は、引き続き関連する学会や研究会等に出席して知見を深め、ジャーナル投稿等も視野に入れながら研究の進展を目指す。そのために、子どもを対象とする身体表現活動セッションを継続実施し、経年的な観点からの分析も試みる。加えて、行為や思考の促しという観点からさらに多くの日英語のデータをCHILDESデータベースから採取し、関連分野の知見も交えながら文化を超えた普遍性と個別性を検討する。共同研究者や関連分野の研究者、集団保育・集団教育の実践家等とも意見交換を続け、ジャーナルへの投稿等を目指して成果をまとめる。以上のように、令和4年度に生じた未使用分は、学会・研究会等への参加費や参加旅費、研究協力者や研究補助者への謝金、情報提供者(関連分野の研究者や集団保育・集団教育の実践家など)への謝金、ジャーナル投稿費などに有効活用する。
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