2019 Fiscal Year Research-status Report
A Research Study on the Current Situation and Related Issues of Value-based Education in German and Japanese Preschools.
Project/Area Number |
19K02644
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
船越 美穂 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (80263987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ / 価値教育 / 保育実践 / カリキュラム / 児童文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実施計画はドイツの幼児教育カリキュラムと、日本の「幼稚園教育要領」等の分析を行って価値項目を抽出し、共通性と相違性を明らかにすること。価値教育に関する関連文献の収集と調査を行うこと。バイエルン州の保育施設、及び神奈川県、大阪府、福岡県等の保育施設において、次年度の予備調査を行うとともに、関係者と意見交換を行うことであった。 2019年度はドイツの幼児教育カリキュラムの中から、本研究の主たる研究対象であるバイエルン州の幼児教育カリキュラムの価値教育の分析を行い、その特徴を明らかにした。また、ドイツの価値教育にとって重要な意味を持つ参画については、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の保育施設におけるモデルプロジェクトと関係者へのインタビューの分析を行うことで、内実を明らかにした。これらの研究成果については、日本保育学会と日本教育学会で発表を行うとともに、大学紀要にまとめた。 2019年8月に神奈川県と大阪府、11月に神奈川県、12月、及び2020年2月には福岡県の保育施設でフィールドワークを行い、関係者にインタビューを行なった。 2019年10月、ドイツ、バイエルン州の保育施設、及び関係機関でフィールドワークを行って、保育実践を収集し、関係者にインタビューを行なった。また、研究協力者のバイエルン州立乳幼児教育研究所のローレンツ博士、ミュンヘン大学元教授のシュペック=ハムダン博士、及びレーゲンスブルグ市教育スポーツ局のグレッチュ博士と研究に関して意見交換を行った。さらに、ミユールドルフ社会教育専門アカデミー校のグリュック氏と研究について意見交換を行うとともに、学生を対象に「日本の幼児教育の制度と現状」について講義を行った。 ドイツと日本の保育施設におけるフィールドワークで得た研究成果については、教員免許状更新講習、本学附属幼稚園公開研究会等において発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究実施計画であった、ドイツの幼児教育カリキュラム分析については、主たる研究対象であるバイエルン州の幼児教育カリキュラムの価値教育について分析を行い、日本の幼児教育との比較の中で特徴を明らかにした。さらに、ドイツの価値教育にとって重要な意味を持つ子ども達の参画について、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の実践と関係者へのインタビユーの分析を行い、日本の幼児教育との関連の中で特徴を明らかにした。 ドイツ、バイエルン州の保育施設、及び関係機関におけるフィールドワークを行なって、保育実践の収集を行うとともに、関係者にインタビューを行った。また、ミュールドルフ社会教育専門アカデミー校の将来保育者になる学生と教員を対象に、「日本の幼児教育の制度と現状」について講義を行い、意見交換を図った。日本においては、神奈川県、大阪府、福岡県の保育施設においてフィールドワークを行なって、関係者にインタビューを行ない、次年度の研究につなぐ準備をすることができた。ドイツにおけるフィールドワークでは複数の保育施設と関係機関において実践収集とインタビューを行うことができたこと、学生に日本の幼児教育について発信できたことより、2020年度、およびそれ以降の研究にも着手することができた。 本研究で得られた研究成果については、学会発表2回、大学紀要2本にまとめた。さらに、教員免許状更新講習「子どもと絵本」、本学附属幼稚園公開研究会において講義を行い、参加者が日々の保育を省察するための機会を提供した。このことによって、地域の保育者や学生に対して、研究成果の発信を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も引き続き、ドイツと日本の保育施設でのフィールドワークによって価値教育に関連する保育実践、教材、及び児童文化財の収集を行うとともに、関係者にインタビューを行うことで、研究の目的を遂行する予定である。ドイツにおける調査では、2019年度の研究対象はバイエルン州であったが、今後はバイエルン州以外の連邦州の幼児教育カリキュラムの分析とフィールドワークによって、バイエルン州と他州の共通性と相違性を明らかにすることが課題である。すでに他の連邦州の関係者の協力を得られ、2020年4月にフィールドワークを行う予定であった。しかし、パンデミックの影響によって延期を余儀なくされ、現在のところ2020年10月にドイツの保育施設でフィールドワークを行う予定である。日本の保育施設におけるフィールドワークについては、2019年度に調査対象園の選定を行った。2020年度は、公立、私立、宗教系、移民の背景や外国にルーツを持つ子どもの割合、地域性などのバランスを考慮してさらに調査園の選定を行う。今後、パンデミックの状況によって、フィールドワークの実施が困難となった場合は、フイールドワークを次年度に延期する必要がある。その場合は、2019年度、及びこれまでのドイツの保育施設におけるフィールドワークで収集したデータの分析によって、価値教育を文化や保護者などの観点から捉えていくことが課題である。 2019年度と同様、学会発表と大学紀要によって、研究成果を発表する。さらに、地域の幼稚園や保育所、認定こども園等の保育関係者を対象とする研修会等の中でも研究成果を発信して、保育の質の向上に貢献できるよう努力したい。
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