2019 Fiscal Year Research-status Report
子ども・当事者中心の虐待防止・権利擁護のシステム開発:北欧と日本の国際比較研究
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19K02645
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石川 衣紀 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80584010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50183059)
田部 絢子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70707140)
内藤 千尋 松本大学, 教育学部, 講師 (30734074)
石井 智也 日本福祉大学, スポーツ科学部, 助教 (90803502)
能田 昴 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 助教 (00803917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 虐待 / 発達支援 / 子どもの権利擁護センター「Barnahus」 / 北欧諸国 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
①2019年9月にフィンランドへ調査訪問を行った。子ども・若者の生活と発達の実態に関する基礎資料を得るため、調査先を特別学校、大学病院の摂食障害ユニット、行政の「幼児・若者・家族セクション」、障害児の一時ケア施設、若者支援センターとした。特に行政(フィンランド健康福祉局)の「幼児・若者・家族セクション」では、フィンランド全国でプロジェクトとして進められている「子ども・家庭サポートセンター構想」について部局担当者より直接情報を得た。子ども・家庭サポートセンターの大きな役割は子ども・家庭支援に関するあらゆる窓口のコーディネーションであり、暴力や虐待の対応についてはとくに「予防」に重点が置かれている。ネグレクトや育児疲れに対するヘルパー派遣、虐待に関する研修、相談機関に関する情報伝達などを含む家庭や保護者への介入を行った結果、児童保護に至る件数は減少傾向にある。虐待問題に関してフィンランドは他の北欧諸国とは異なるアプローチシステムを形成しており、今後も継続して把握を行っていく。
②2020年2月にスウェーデンへ調査訪問を行った。子ども・若者の生活と発達の実態に関する基礎資料を得るため、調査先を特別学校、自治体によるひきこもりの若者支援プロジェクト、ひきこもり支援を行う民間企業、精神疾患に関する当事者組織等とした。自治体によるひきこもりの若者支援プロジェクトでは、元ひきこもり当事者が支援スタッフとして参加しており、スウェーデンの若者と家族の状況について直接情報を得た。ひきこもりの若者の親の側は多くの場合、「我が子は勉学で失敗した」というケースで来るという。また、本人の実態に見合っていない学習内容が学校で提供されたことによるケースもある。親が忙しく、子どもが孤独である場合も多い。子ども・若者当事者の声をもとにした支援の構築は日本の支援体制が学ぶことも多く、今後も継続して把握を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①フィンランドとスウェーデンへ実地調査を行い、子ども・若者がおかれている社会状況の相違点について現地の担当者と意見交換を行った。調査結果については今後学会発表および論文投稿によって公開していく。現在その準備を進めている。
②北欧各国に開設のDV・被虐待・ネグレクト等に関わる「当事者支援組織」については、現段階では訪問はできていない。情報収集を行いながら、2020年度の調査訪問をめざす。
③関連する海外先行研究のレビューについて、引き続き実施していく。合わせて、各国の虐待対応に関する法制度の整備状況についても把握を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
①現在の新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みつつ、「Barnahus」を始めとした虐待防止・支援に関する担当部局、および当事者支援組織の北欧各国における情報を事前収集し、訪問調査を実施予定である。現在共同研究者とともにその準備を行っている。
②関連する海外先行研究のレビューを進めていく。
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Causes of Carryover |
今回の海外調査の旅費実質分担額に変更が生じたため。 引き続き、主として海外調査の旅費として使用していく。
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