2022 Fiscal Year Annual Research Report
子ども・当事者中心の虐待防止・権利擁護のシステム開発:北欧と日本の国際比較研究
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19K02645
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石川 衣紀 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80584010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智 日本大学, 文理学部, 教授 (50183059)
田部 絢子 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70707140)
内藤 千尋 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30734074)
石井 智也 東海学院大学, 人間関係学部, 講師(移行) (90803502)
能田 昴 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 講師 (00803917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北欧福祉国家 / スウェーデン / コロナ禍 / 発達困難・リスク / 特別ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年3月にスウェーデンにおいて「障害・疾病・不適応・非行・コロナ禍」等に伴う発達困難を有する子ども・若者の特別ケアに関する調査研究を実施した。スウェーデンのコロナ禍における多様な発達困難・支援ニーズを有する子ども・若者への特別ケアの動向・課題を訪問調査を通して検討し、それとの比較において日本のコロナ禍における多様な発達困難・支援ニーズを有する子ども・若者の発達支援のあり方を明らかにすることを目的として、レイマシ特別就学前学校、知的障害当事者組織「FUB」、児童思春期精神障害中間施設「BUP Mellanvard NV」、アルマ国民大学高次脳機能障害失語症コース等を訪問調査した。 スウェーデンではCOVID-19パンデミックにおいてロックダウンを実施しなかったため、感染者は多かったが社会経済システムが比較的正常に保たれたという認識が強い。しかし、デイセンターやアクティビティが閉鎖・中止され、知的障害当事者らは家族・友人とも面会できない孤独・孤立した状況が続いた。スウェーデンにおいてもインクルーシブ教育の実質化と知的障害当事者の教育保障において課題が山積しており、そのことはコロナ禍において知的障害当事者の「いのち・生活・発達」の困難・リスクや選別・格差問題として如実に露呈している。 またコロナ禍で一層顕在化した長期欠席・不登校・ひきこもり、自傷・摂食障害、自殺等の子どものメンタルヘルス問題の支援においても重要な役割を果たす機関の一つがBUPである。コロナ禍の子どものメンタルヘルス問題は年単位の時間差で出現するという指摘もあり、子どもの発達困難・リスクは今後さらに拡大することが懸念される。
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