2019 Fiscal Year Research-status Report
屋内で自由に集える公設の全天候型遊び場での子育て支援とコミュニティ育成効果
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19K02649
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田川 正毅 東海大学, 国際文化学部, 教授 (10326564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 未来 東海大学, 国際文化学部, 講師 (70548734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども / 遊び / 運動 / 子育て支援 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、全国の公共的な屋内遊びの基礎的なデータを収集し、それらの設けられ方の全体傾向を把握した。基礎的な事項の整理を通し、それらの特徴の一端を明らかにした。 調査対象は、「自治体が営利目的ではない計画意図をもって設置している屋内の遊び場で、遊具等を設けて広場的な雰囲気を有し地域の親子等が比較的自由に利用できるもの」とした。未だ、この種の施設の明確な類型があるわけではないことから、全国的な設置傾向を把握することで、その位置付けをより明瞭にすることも企図した。自治体のホームページ等から、小規模な子育て広場や一般的な室構成の児童館等を除き、102箇所を抽出した。地域別にみると、北海道・東北および北陸と新潟県など積雪地の設置数が多いものの、全国的に設けられている。設置主体は都道府県よりも市町村が多い。民間事業者の屋内遊び場に助成を行ない利用料等の低減を図っている官民連携も数例あった。殆どの事例が、砦状の複合遊具・ネット遊具・大形エアー入り遊具・ボールプール・ボルタリング等の大型遊具を備え、家や幼稚園・保育園にはないような遊具で遊べることが魅力になっていることが窺えた。全国での半数以上は2010年以降に設置されており、こうした屋内遊び場が近年増えてきている様子が分かる。2012年頃より、東日本大震災による原発事故の影響により福島県での設置数が増えている。立地場所に関しては、郊外よりも市街地での設置例が多い。多くの市民が利用しやすい場所として、公設でも市街地のビル内に設ける事例が相当数見られた。利用のしかたでは、未就学児では全て、小学生も児童館を除いて殆どの事例で保護者など大人の同伴を求めている。また、約3割の遊び場で育児相談や子育て関連の行事などの取り組みが行われている。以上のような全体傾向の把握を踏まえ、地域毎にどのような特徴があるかなど、実態把握を進めていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、全国の公共的な屋内遊びの基礎的なデータを収集し、調査対象施設の抽出を行なった。それらを、地域・設置主体・設置年・主な遊具・立地・利用対象年齢・親子同伴の要否・利用時間帯・利用料金、および子育て支援との関わりから整理を行なった。こうした整理を通して、典型事例として基礎的な現地調査に適するものを選定し調査計画を作成した。しかし、新型コロナウィルスの流行拡大によって、リスト化した全国の全ての遊び場は全て休館となり現地調査ができなくなった。当初予定では、この基礎的な現地調査をふまえて、令和2年度に数を絞ったうえで詳細な利用実態調査を行なう予定であった。調査対象施設は現在も閉鎖されており、研究計画としては約3~4か月の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査は、新型コロナウィルスの流行が収束し子どもの安全が確保されることが前提となる。屋内遊び場は、子どもが近い距離で遊ぶことに加えて、遊具を介して汚染等が広がる可能性が高いことから、再開にはやや時間がかかることが予想される。また、再開されたあとも利用人数制限などがかかる可能性がある中で、利用者以外の外来者が訪問し観察する調査が認められるかも見通せない状況である。 令和2年度は、現地調査を行なえるようになるまでは、設置自治体へのアンケート調査を行なうことでデータ収集を行うことを重点にする。設置自治体へのアンケート調査では、質問項目や自由記入欄を増やすなどで、現地調査の不足を補う工夫を行なう。また、指定管理者へのアンケート調査も行うことで、現地での観察調査をいくらかでも補えるように丁寧なデータ収集に努めるものとする。
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Causes of Carryover |
令和元年度においては、新型コロナウィルスの流行拡大により、全国の屋内遊び場の殆どが休館となった。このため、予定していた現地調査を行なうことが出来なくなり、調査旅費等の支出が非常に少なくなった。 令和2年度の前半は、現地調査を補うためのデータ収集を、屋内遊び場を設置する自治体の担当部局、さらに施設管理者にも郵送アンケートにより行う。そして令和2年度の後半に、新型コロナウィルスの収束状況と各施設の運営状況を見て現地調査を実施する体制を整えるものとする。これらの調査費用と、調査を効率化するためのIT関連の利用などが支出の中心となる。
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