2020 Fiscal Year Research-status Report
屋内で自由に集える公設の全天候型遊び場での子育て支援とコミュニティ育成効果
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19K02649
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田川 正毅 東海大学, 国際文化学部, 教授 (10326564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 未来 東海大学, 国際文化学部, 講師 (70548734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども / 遊び / 運動 / 屋内遊び場 / 子育て支援 / コミュニティ / 成育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の調査を基に、日本建築学会大会学術講演会において、「公共的な屋内遊び場の設けられ方の特徴と子育て支援:田川正毅・塚本未来、2020年9月」を発表した。そこでは全国の一定規模の公共的な屋内遊び場102箇所を抽出し全体傾向を把握した。令和2年度は、その内容を踏まえてさらに詳しい実態把握のために、設置自治体を対象とした郵送による調査を実施した。「こどもの屋内遊び場の設置状況に関するアンケート調査」として全国の 100 施設(82 自治体)の都道府県・市町村の担当部課に郵送し、84施設より回答を得た。 調査内容としては、設置目的・設置要望の有無・立地特性・遊び場面積・改修状況・施設構成・来場者数・主な遊具・行事やイベント・管理形態・スタッフの役割・子育てサークル等への関り・コロナ禍による影響・交流やふれあいの効果・改善要望等である。集計分析からの主な考察として、魅力のある遊具を多く配することで遊びの機会を増やし、子どもや家族のふれあいを促し、健康づくり等にも繋げたいとする自治体の主要な設置意図が分かった。また、屋内遊び場では遊びや運動だけではなく、親子のふれあい、親同士の交流、祖父母や父親の育児への関り等の効果が認識されていた。全体の約 3 割が遊び場に子育て相談等の機能を持たせており、民間の屋内遊戯場と異なる役割が企図されている様子が分かる。コロナ禍の影響としては、利用者の連絡先等の把握に努め、人数制限など行いながら慎重に運営されている状況が分かった。 施設内容には、子育て支援機能を重視したもの、健康づくり等のプログラムを多く提供しているもの、市民だけではなく誘客を意図しているものなど多様性がある。自治体の設置目的等から、そうした特徴毎に類型化しながら分析を進める必要性が理解された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス流行によって全国の屋内遊び場の殆どが感染対策を厳しくするなか、研究計画の当初に予定していた現地調査は令和2年度も全て見送らざるを得なかった。乳幼児や保護者への観察・聴取調査は、安全安心を最優先に運営している屋内遊び場では避けるべきと判断した。こうしたコロナ禍による研究上の制約への対応として、自治体担当部署へのアンケート調査に、現地調査を一定程度代替し得るような調査項目を設け、研究分析に必要な情報を得ることに努めた。研究計画としては約5~6か月の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行の収束はまだ見通せないが、ワクチン接種の進捗により今年度秋頃より感染状況が改善に向かうものと想定し、計画を修正して研究を進める。令和元年度に行なった全国の公共的な屋内遊び場の全体傾向の把握、令和2年度に行なった屋内遊び場の設置自治体へのアンケート調査をふまえて、日本の公共的な屋内遊び場の類型化を図ることで、より効率的で体系的な実態分析を進めていく。 令和3年度前半は、こうした類型化の研究を中心に行う。そして現地調査対象施設として有効と考えられる代表的な屋内遊び場を抽出する。研究の性格から、屋内遊び場の現地調査はどうしても必要である。一方、コロナ禍で屋内遊び場では利用人数の制限が厳しくなり、県外からの見学者は遠慮してもらうケースが増えることが予想される。令和3年度後半は、自治体アンケートで繋がりの出来た自治体担当部署と連携を取り許可を得ながら、分析に有効性が高い屋内遊び場を絞ったうえで、利用実態の現地調査と自治体担当部課への聴取調査を行なう。また、調査対象施設に関しては自治体担当部署および当該施設の設計者等の許諾を得ながら、施設構成を分かりやすく示すための平面図作成を行なうとともに、その立体的な3D表現も開発する。そうした表現方法の工夫は、研究成果をわかりやすく公開し社会に還元していくためにも重要である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行が収束せず、現地調査を行なうことが出来なくなった。また学会もリモートなどで行われた。このため令和2年度で予定していた調査旅費等が未使用となった。令和3年度は新型コロナウィルスの感染状況を見極めながら、現地調査対象の数を絞りつつ効率的な調査研究を行なう。また、屋内遊び場の設置自治体や設計者の許諾も得ながら遊び場の平面図や3D情報をデジタルデータとすることも進める。そのための機材・ソフトウェア購入を行うものとする。
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