2021 Fiscal Year Research-status Report
ASDおよびその疑いのある5歳児を対象とした就学支援プログラムの実証的研究
Project/Area Number |
19K02652
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
星山 麻木 (柳沼麻木) 明星大学, 教育学部, 教授 (70304558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 万里子 帝京短期大学, 帝京短期大学, 講師 (20814130)
佐々木 沙和子 帝京大学, 教育学部, 助教 (90827437)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ASD5歳児 / 感覚特性 / 感覚過敏 / 就学支援プログラム / 就学支援シート / 実証的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ASDおよびその疑いのある5歳児を対象に感覚特性である過敏性や鈍麻に対する実態をSPにて調査研究し、就学に向けた就学支援プログラムとして、合理的配慮を保護者と教員で情報共有し合理的配慮を実施するための一連の流れを検証することである。2021年度は収集したデーターの分析を行った。幼稚園に通う5歳児146名を対象として、①発達全般として乳幼児発達スケール(以下、KIDS)TYPE T、②感覚特性については日本語版感覚プロファイル(以下、SP)を用いて保護者が記入した。分析方法は、KIDSの総合発達指数(以下、MA)とSPの4象限(①低登録・②感覚探求・③感覚過敏・④感覚回避)についてPearsonの相関係数にて分析し有意水準は5%未満とした。その結果、対象となる5歳児146名のうち143名(97.8%)から協力を得られ、KIDSのMAとSPの4象限との関係は、Pearsonの相関係数より、①低登録-0.194(0.020)、②感覚探求-0.215(0.010)、③感覚過敏-0.286(0.001)、④感覚回避-0.237(0.004)に有意差があり、相関関係がみられた。また、KIDSのMA70未満の児は5名(3.5%)、SPの各象限で非常に高い値を示した児は、①低登録11名(7.7%)、②感覚探求6名(4.2%)、③感覚過敏3名(2.1%)、④感覚回避7名(4.9%)であった。対象143名のうちSPの4象限のいずれかに非常に高い値を示した児は21名(14.6%)であり、内1名は発達性協調運動障害、内2名はADHDであった。今後は同一の対象児に対して保護者による評定と教諭による評定がどの程度一致するのか、或いは不一致なのかを明らかにし、その差異を検証することで就学支援プログラムとして、学校という集団の場における合理的配慮の必要性を保護者と教諭で共有できるように実証的に研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 第1にコロナ禍にも関わらず回収率が高く146名の対象児からのデーターを得られた。これは長年、園児、保護者、教諭を支援してきた実績と信頼関係によるものと考えられる。その結果、仮説として診断の有無に関わらず感覚特性の高い5歳児が存在することが明らかになった。SPの各象限で「非常に高い」値を示した児が統計的に示された。対象者の中で診断のある児は3名であることが示されたことより就学支援プログラムの重要性が示唆された。 第2に保護者と教員それぞれから得たデーターの分析を行う予定である。対面での学会発表や国際学会での研究者との交流の機会が減少したことにより令和4年度に発表の機会を延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度から3年度にかけてはコロナ禍で対面実施や検討が困難だったことから、令和4年度に学会発表等を繰り越し、小児保健学会で発表や投稿を行う予定である。研究者と交流で見識を深めることができることを期待するが、学術論文誌への投稿準備が最終段階に入っている。今年度から新規に取り組む予定の研究である「4歳児から感覚特性の実態」を明らかにし、一連の就学支援への流れを映像にして、今までの研究の蓄積が多くの保護者や支援者に生かされることを目標とする。今後は就学に向けた支援が着実に繋がるように研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により国際学会や国内学会の対面による実施がなかったため、今年度に学会発表等を行う予定であるため繰り越し申請を行った。
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Research Products
(2 results)