2019 Fiscal Year Research-status Report
自然遊びにおける身体感覚の溶解体験に関する研究~リスクと物語性の関係から~
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19K02663
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Research Institution | Chiba Keiai Junior College |
Principal Investigator |
清水 一已 千葉敬愛短期大学, 現代子ども学科, 准教授(移行) (70455088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然遊び / 自然環境との融和 / 危険の認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究の目的として、「子どもの自立行動の獲得をサポートするために企画、実施されている『子どもの自立キャンプ』(主催:NPO ケアラボ)のキャンプ活動の参加者を観察し、自然の中での遊びにおける危険性(リスク)を子どもがどのように認識し、そのリスクがどのように解消されていくのか、その過程を参与観察により捉えていく」ということを設定していた。 この子どもの自然体験における「危険」の認識を参与調査によって蒐集していくことを目的に、2019年7-8月に「子ども自立キャンプ」での参与調査およびそこでの聞き取り調査を実施した。この調査では、下記の事例を蒐集することができた。 ①視覚が遮断された環境で「危険」を認識する方法として、「音」、「感じる」といった「聴覚」、「触覚」による状況把握が行われていた。 ②「危険」と認識した環境に入り込んでいく手段として、周囲の人物と「手をつなぐ」、「密接する」という方法をとっていた。 ③自然の中の「危険」の認識が虫や夜空といった環境への融和により、変容してきた。 このように、子どもが「自然」と関わる際に、当初は「危険」と認識していたものが周りの人との関わり、虫や夜空などの興味を引くものとの関わりにより、変容してきたという事例を蒐集することができた。このような、事例は一定の環境「自然の暗闇」の中で観察されたものであり、その他の様々な状況での「危険」の認識については、さらに事例の収集を続けていくことが必要になる。2019年度の研究調査では、子どもの「関わり」を通した、「危険」の認識の変容について、今後の調査の質と方法などの示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参与調査におけるデータ、資料蒐集は一定程度、実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年2月以降の調査対象者との接触が制限されてきたため、2019年実施の調査の補足、および2020年度に実施予定の調査の具体的計画が設定できなくなっている。また、2020年度の調査計画にあった、継続的な調査対象としていた「子どもの野外キャンプ」が、コロナ感染症対策のため全面的に中止となった。事例の蒐集が研究計画でも多くを占めていることから、調査の引受先などを再選定していく必要が出てきた。
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Causes of Carryover |
学会発表にかかわる旅費関係が開催場所の関係から安価で済んだこと、通信・運搬費を合理化したことにより差額が生じた。 感染症対策により、研究計画の大幅な変更が見込まれるため、調査対象場所への旅費が増額されることが見込まれる。また、参与観察が中心となることから感染症対策費も追加する必要がある。
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Research Products
(2 results)