2021 Fiscal Year Research-status Report
自然遊びにおける身体感覚の溶解体験に関する研究~リスクと物語性の関係から~
Project/Area Number |
19K02663
|
Research Institution | Chiba Keiai Junior College |
Principal Investigator |
清水 一已 千葉敬愛短期大学, 現代子ども学科, 准教授(移行) (70455088)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 自然遊び / 自然環境との融和 / 危険の認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の計画では、リスク認識-解消過程において、子どもが自然物に対して、どのような物語を紡ぎあげているのか明らかにすることが主眼を置いていた。 キャンププログラムの参加者の会話分析と自然遊びにおける行動の変容をとらえるために、ビデオ撮影をおこない、参加者同士(子ども同士)の自然物との関わり方の変化について分析をおこなった。 まず、短期キャンプにおいて、自然の対象物との関わりにより身につけられているパターンを抽出することを目的に、参与観察調査を実施した。観察記録から、繰り返し行われている行動に焦点を当て、動画記録を使い、対象物との関わりについて分析した。 自然物との関わりにおいて、自然の対象でが、動くかどうかの違いに加え、それに触れている仲間の存在との関係があった。そこでは、自然物の状態(静的、動的)により、子どもが能動的に触れるという、身体的関わりを誘い出していることが確認できた。また、飛び降りの事例では、森の中を走り回ってきたことで、地面の枯れ葉に無意識的に触れており、枯れ葉の柔らかさ、身体を受け止めてくれるということが地下されていることが確認でき、身体の時系列的関わりのつながりにより、安全な身体的行動が表出することを見て取ることができた。 次に、キャンププログラムの暗闇体験を記録し、分析をおこなった。そこでは、危険を回避する過程において、暗闇を通して自身の身体性(怖さ)に気付き、動きを止め、動きを止めた子どもは、視覚により現れた木の姿(人のかたちに見えかぶさってくる)ことに危機を感じていることが確認できた。これは、8歳の子どもの主観的世界へ身体が反応し、動きを止めたことになる。同時に、そこに寄り添う(手をつなぎ、全身で抱き着くことのできる)大人の身体があることで、木の陰という認識がなされ安心感(笑顔)を見せることになった。ここに身体の融解体験を見て取ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度のコロナ感染症による調査、資料蒐集の停止の影響があり、2021年度の調査、資料蒐集の計画に遅れがでた。その為、十分な観察調査記録が取れていない状態にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症の影響により、不足していた観察参加調査の記録を蒐集するため、1年間の補助事業期間の延長を申請し、承認された。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染症の社会的状況により、参与観察調査が一時中断しており、1年間の延長申請をおこなった。その為、次年度の使用計画として、物品費(0円)、旅費(29千円)、人件費(120千円)と当初研究計画に沿った使用を計画している。
|
Research Products
(1 results)