2019 Fiscal Year Research-status Report
絵譜の再生をとおした幼児音楽教育の発展に向けた実践的研究
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19K02667
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
臼井 奈緒 佛教大学, 教育学部, 講師 (90634311)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 絵譜 / 教科書 / ドイツ / グリューガー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の主な研究活動として、5月に教科書図書館を訪問し、保存されている小学校音楽科教科書全てから絵譜が掲載されている資料を収集した。それらから現在の教科書には見られない非常に豊かに描かれた絵譜が過去には多く存在していたことが確認された。その資料の一部を取り上げ、10月に日本音楽教育学会東京大会において「戦後の小学校音楽科教科書にみる美しき絵譜の世界」というタイトルでポスター発表を行った。現在これらの資料をもとに論文執筆をすすめており、2020年度の発表を目指しているところである。 12月には絵譜の資料収集と絵譜の研究者との意見交換のため、ドイツ・オーストリアにおいて調査を行った。トロイスドルフ絵本博物館において、絵譜の生みの親であるグリューガーのオリジナル原画をはじめ、貴重な資料のデータを入手し、絵譜作成の過程や考案に至る経緯等について知ることができた。また、グリューガーの絵譜研究の先駆者であるイェヴァンスキ氏との意見交換において、近年の申請者の絵譜の研究報告を行い、今後の研究の方向性に関する多くの示唆を得ることができた。さらにイェヴァンスキ氏からの紹介で、音楽教育研究者、実践家として絵譜の体系的な研究をされているエンサー氏を訪問し、ドイツ語圏における絵譜の現状についても多くの知見を得ることができた。 データの整理は現在進行中であり、研究発表については2020年度以降の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教科書図書館での資料収集によって、過去の音楽科教科書に使用されていたバリエーション豊かな絵譜のデータを入手できた。これらは今後詳細に分析していく予定である。 ドイツ・オーストリア調査においても、貴重な絵譜のオリジナルデータや情報を入手することができ、さらに専門家からの貴重な研究への助言や情報提供を受けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
絵譜のオリジナル原稿を参考に、保育者養成課程においての絵譜作成をさらに促進し、質の高い絵譜、保育者の歌唱指導力を高める教材としての絵譜を追求していきたい。また、保育実践における生きた保育教材として、保育現場での絵譜の普及と活用を目指していく予定である。その基礎研究として、保育現場でのフィールドワークを行い、歌唱指導時の指導者・幼児間のやり取りや状況把握をとおし、課題や問題等を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
A0版大型プリンター(50万円相当)を初年度に購入予定であったが、申請者の所属先変更により、すでに大学設備として使用可能なA0版大型プリンターが設置されていたため、購入を控えた。
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