2020 Fiscal Year Research-status Report
絵譜の再生をとおした幼児音楽教育の発展に向けた実践的研究
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19K02667
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
臼井 奈緒 佛教大学, 教育学部, 講師 (90634311)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 絵譜 / 絵画性 / 再評価 / 子育て支援 / 幼児教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に教科書図書館において収集した絵譜の資料の整理と分析結果の内容をもとに、2020年度は、日本音楽教育学会において「小学校音楽科教科書における絵譜の取り扱いに関する一考察―「きらきらぼし」の絵譜を題材に―」というタイトルで口頭発表を行い、佛教大学教育学部学会紀要第20号に「小学校音楽科教科書における絵譜の取り扱いに関する研究―《きらきらぼし》の絵譜を題材に―」という論題で論文投稿を行った。 また、音楽学習学会第16回研究発表大会において「教材としての絵譜 -日本の音楽科教科書にみる絵譜の絵画性-」という演題で口頭発表を行い、その内容を「日本の音楽科教科書にみる絵譜の絵画性―幼児教育への応用を展望して―」という論題で、音楽学習学会(査読有)への論文投稿を行った。 上記の研究から、日本の小学校音楽科教科書における絵譜の特徴として「挿絵と一体化し,歌の世界観を表現した絵譜」「絵譜の部分的使用」「鑑賞教材での絵譜の活用」「模索する絵譜の傾向や活用」,さらには読譜指導に役立つ絵譜を追求するあまりその最大の魅力ともいえる絵画性を喪失していく様が捉えられた。結論として,①日本では教育現場での喫緊の課題に応えるため次第に絵画性が損なわれたこと,②多くの教育者らによる教科書検定を受け続け,変化に富んだ絵譜が多く生み出されたことが明らかとなった。 また、K市立幼稚園において一年間、子育て支援における絵譜の役割についてフィールドワークと調査を行った。その結果は2021年度5月に日本保育学会で口頭発表を行い、今年度に論文執筆の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウィルスの影響で、当初計画していた海外(ドイツ)での調査が遂行できなかった。しかし、2019年度に収集した資料をもとに研究を進め、国内でのフィールド調査を遂行することによって、研究全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施できなかったドイツでの調査を最終年度である2021年度に再度計画しているが、新型コロナウィルスの収束が見られない場合は、一年間の科学研究費の受給期間延長の申請も視野に入れている。 一方、国内で進められる幼児保育分野における絵譜の普及に向けた研究活動(論文執筆・絵譜を用いた保育者向け研修会・絵譜の作成・絵譜を閲覧できるホームページ制作)等は随時進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウィルスの影響で、ドイツでの調査研究を遂行できなかったため、 旅費、物品費等の次年度使用額が生じた。現在、海外調査を2021年度に再度計画しているため、今年度に使用予定である。
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