2022 Fiscal Year Annual Research Report
絵譜の再生をとおした幼児音楽教育の発展に向けた実践的研究
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19K02667
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
臼井 奈緒 佛教大学, 教育学部, 准教授 (90634311)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 絵譜 / 歌 / 保育 / 幼児 / 楽譜 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、絵譜の家庭における活用を企図した論文(昨年度不採択分)の修正・再投稿「幼児を対象とした絵譜の活用の検討ーコロナ下の家庭における歌唱活動を通してー」を行った。日本音楽教育学会53回大会においては、「絵譜の創始者Gruegerの思想とコンセプトートロイスドルフ絵本博物館における回顧展資料と原画からー」という題目で学会発表を行い、絵譜の誕生の背景や作品の特徴を読み解いた。また、6月に絵譜を自由にダウンロードできるHP「絵譜の森」(https://nao-usui.bukkyo-u.ac.jp/research/)を開設し、保育現場や子育て家庭での絵譜の活用に向けて、研究成果の発信を行った。絵譜の作品開発、作成指導にも努め、学生のアイディア溢れる絵譜作品の作成を促進し、その学修成果がどのようなものであったかを調査した。さらに、保育現場、障害者福祉施設、子育て支援の場において、絵譜を用いたコンサートを企画・実践し、一斉歌唱場面での絵譜の活用の可能性を探った。 加えて、ドイツの音楽教育の影響を受けたフィンランドの幼児音楽教育において,絵譜を活用した指導法が行われているとの情報を得たため、予備調査としてフィンランドのユヴァスキュラ大学を訪問した。大学図書館所蔵の楽譜等からは、大変示唆的な絵譜の伝搬と利活用が確認できたが、どのような経緯、分野において利用されてきたのか、あるいは現在の幼児音楽教育においてどのような活用が行われているのかについて、詳細はまだ不明である。 絵譜を保育教材として有効活用するための基盤となる絵譜の有用性について概観するためにも、ドイツその他の近隣諸国の絵譜に関する文献収集と文献研究を継続する必要を感じている。また同時に、今日の時代に即した絵譜の活用方法を提示し、さらなる絵譜の発展・開発を促すことも今後の課題である。
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