2020 Fiscal Year Research-status Report
Australia-Japan Comparative Study on Globalized School Management: Focusing on IB School
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19K02672
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 博志 筑波大学, 人間系, 教授 (80323228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 校長のリーダーシップ / 学校マネジメント / グローバル化と学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバル化された学校におけるマネジメントのあり方を、日本とオーストラリアの比較分析を通して解明することである。令和2年度においては、日本の公立の新設IB認定校及び公立学校を事例校として訪問調査を行った。校長への聞き取り調査で明らかになったことは、校長がIBを重視し、生徒の主体性と公共性への貢献を育成しようとしていること、教育委員会と良好な協力関係を維持していること、戦略的な経営計画を設けていること、教職員を信頼し、任せていること、生徒との交流を重視していること、グローバル化が重要であると考えていることである。また、IBコーディネーターの役割が大きいことも明らかになった。このIB認定校の特徴について深く調べるために、その前身となる学校経営との連続性も調査した。その結果、前身校においても、生徒の主体性と自治が尊重され、国際化が尊重されていたことが分かった。興味深いことに、このIB認定校には、前身校の影響が見られることが分かった。すなわち、部活動、生徒会活動において、前身校の校風を引き継ぐことが重要であると、生徒の間で認識されている点が興味深かった。この要因として、前身校とIB認定校は、前身校の最終年度とIB認定校の開校年度の一年間同じ校地に同居しており、一部同じ建物を併用していたことがあげられる。また、生徒同士の交流会があったことも要因としてあげられる。このほか、IB認定校以外の学校改善に力を入れている学校にも訪問調査を行った。そこでは、学校経営計画、実施、学校評価のサイクルが展開しており、探究的な学習に力を入れていた。IB認定校とそれ以外の学校を比較すると、IB認定校ならではの職であるIBコーディネーターの役割が大きいことが明らかになった。また、IB認定校では、IBのカリキュラムの実現が強く意識されている点が特徴的であった。今後も研究の進展に努力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、日本における現地調査を行うことができた点が大きな成果である。第一に、校長のリーダーシップの実像やIBコーディネーターの重要性について明らかにすることができた。インタビューの結果である質的データはすべて原稿に書き起こされている。日本でデータを多く集められたことは、今後の研究の進展に貢献するだろう。第二に、新設のIB認定校を調査対象の事例に設定したが、その前身の学校の状況も分析の対象にした点が研究の進展に貢献した。前身の学校に関するデータも収集・分析できた。その結果、新設のIB認定校には、生徒の主体性の尊重、自治能力の育成、国際化という前身校の長所が影響していることがわかった。このことから、IB認定校のマネジメントを分析するにあたり、時間的な視野を幅広く取ることが重要であることが明らかになった。第三に、IB認定校とそれ以外の学校(一般校)の対比を行うこともできた。対比の結果、一般校には見られないIB認定校の特徴として、グローバル化への意識が強いこと、IBの理念とカリキュラムの実現を重視していること、IBコーディネーターの役割が大きいことが明らかになった。一方、共通点も見出された。すなわち、IB認定校であっても、一般校であっても、学校のビジョン、コミュニケーション能力、戦略的発想と計画などに関するリーダーシップが校長によって発揮されている。以上の理由から、本研究課題は、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一に、日本におけるIB認定校の調査を引き続き行い、事例データを収集する。そのために、事例校への訪問調査を多く行うあたることが必要であると考えている。さらに、IB認定校だけでなく、IB認定校以外の学校も対象にすることが適切であると考えている。IB認定校の特徴は、IB認定校以外との比較によって明らかになるからである。具体的には、学校への訪問、質的データの収集と分析、比較、原稿の作成という手順で進める。質的データの分析に当たっては、データのトライアンギュレーションに留意し、研究成果の妥当性、信頼性を担保することを心掛ける。そのために、質的データの分析に関する研究方法及び理論基盤についても論究を進める。第二に、日本とオーストラリアの比較研究を行う。日本とオーストラリアでは、学校制度、教育行政に関する相違があるため、これらの相違をふまえて、IB認定校のリーダーシップの比較研究を行う。なお、新型コロナウイルスの感染状況によって、学校への訪問調査が難しい場合は、オンラインによる調査も取り入れて対応していく予定である。同時に、収集したデータを活用して、学会発表や論文として研究成果を著すことを考えている。
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Research Products
(1 results)