2021 Fiscal Year Research-status Report
Australia-Japan Comparative Study on Globalized School Management: Focusing on IB School
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19K02672
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 博志 筑波大学, 人間系, 教授 (80323228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 校長 / IBコーディネーター / IB認定校 / リーダーシップ / 国際バカロレア |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、国内の調査を軸に推進した。国内の公立IB認定校の校長とIBコーディネーターのリーダーシップの事例研究を行った。その際、校長とIBコーディネーターへの聞き取りだけではなく、教員5名、生徒2集団(4名×2集団)、保護者2集団(4名×2集団)、学校評議員(2名)への聞き取りを行った。さらに、学校の全教職員に対する質問紙調査を行った。その結果、次の知見が明らかになった。第一に、校長は、グローバルマインドの育成を重視しており、カリキュラムや授業研究に関しては、IBコーディネーターに大幅に職務を委任していた。IBコーディネーターを信頼して協力していた。校長は教職員の人事を課題として認識していた。すなわち、IBの教授資格を持つ教員を恒常的にどのように確保するかという点の懸念であった。第二に、IBコーディネーターは、IBの理論や教育学に関する知識が豊富であり、どの教科の内容や方法にも専門的な力量を持っていた。教員からの信頼は厚いが、IBコーディネーターに職務が集中しているため、非常に多忙であった。第三に、教員は、校長やIBコーディネーターの組織運営に関して高く評価していた。人柄や指導力が良好な教員が多いとの指摘があった。しかし、多くの行事や探究型の学習の準備、採点のため、教員の職務は多忙であり、懸念される状況であった。生徒は、探究型の学びをより良く理解し、学習に励んでいた。また、授業における指導法が最近改善されたことを指摘していた。保護者は、生徒の進路に対して希望と不安を抱いていた。教員に対する評価は高かった。質問紙調査の結果、校長のリーダーシップに対する評価は肯定的であるが、授業等への直接の相談や助言に関してはさほど高い評価ではなかった。このように、調査の結果、IB認定校の組織運営は長所と課題を併せ持っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、国内調査は可能であるものの、コロナ禍以前のように円滑に調査することは困難であった。海外調査についても難しい状況である。このように、研究の環境に難しい側面がある。IB認定校において豊富なデータを入手できたが、データの入手と整理の段階に留まり、論文の執筆による研究成果の公表には至らなかった。これらの理由から研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国内の事例校におけるフォローアップ調査を行うと共に、研究成果の公表を目指して、論文の執筆に専心する必要がある。まず、データの整理、検討を進める。具体的には、質的分析の方法にもとづいて、データの内容分析を行う(コーディング、カテゴリー化を行う)予定である。そして、研究の目的、理論枠組み、研究の結果、結論、考察という構成を参考に論文を執筆する予定である。なお、データ収集において研究倫理を順守し、プライバシーへの配慮等の適切な対応を確実に行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響のため、調査が必ずしも円滑に進められなかった。また、データを論文化する作業に時間が予想よりかかった。以上の理由から、計上した予算に基づいて、計画通りに充分な研究を進めることができなかった。このため、次年度使用額が生じたが、この次年度使用額を、論文執筆のための文献や資料収集、データの整理、フォローアップ調査などに使用し、研究を推進する計画である。
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Research Products
(6 results)