2019 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の言語発達に基づく作文技術の系統化と作文カリキュラムの開発
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19K02673
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
森田 香緒里 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (20334021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 作文技術 / 文章表現 / 相手意識 / 児童作文 / 発達過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童生徒の言語発達と作文技術の系統化を融合した作文カリキュラムとその評価法を開発することを目的としたものである。本年度は、以下の3点の研究を行った。 (1)これまでに行った日本と英国での児童作文の分析結果を、学術論文にまとめ発表した。具体的には、両国で得た小学校低学年と高学年の作文データ(過去の科研で実施)を、相手意識とコミュニケーション方略という観点から分析し、発達過程についての国際比較を行った。その結果、両国とも学年が上がるにつれて相手意識を様々な表現上の工夫として表出していく傾向がみられたが、英国では語レベルで、日本では文構造レベルでの表出が目立った。また、日本人児童の方が、より多様なコミュニケーション方略を持ちうることを指摘した。ここで得た言語発達の実態から、作文技術の枠組みをコミュニケーション方略の観点から再考する必要があるとの考察を行った。 (2)日本の学習指導要領における作文技術の位置づけについて検討を行った。その結果、日本の作文指導における教育内容の編成は、学習過程による段階分けと文種という二つの示し方になっており、作文技術の観点からの整理はなされていないことがわかった。 (3)海外(主に英語圏)の作文指導関連図書や、古典修辞学を基盤にした作文教科書を収集した。次年度は新学習指導要領を反映した国語教科書を入手する予定なので、日本と海外の作文指導における作文技術を抽出し、またそれらの配列について調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外の作文指導関連の文献収集に手間取り、国際比較による作文技術の明確化と系統化についての検討が行えなかった。また、「作文技術」に含まれる下位概念の整理が必要であることがわかり、新たな検討が必要になったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
小中学校段階において必要となる作文技術の抽出を古典修辞学の知見を援用して行う予定だったが、古典修辞学では小学校段階の作文技術に対応しにくいことがわかってきた。そのため、これまでのような海外の専門書や教科書等の検討からだけでなく、現職教員らからの意見聴取もあわせて行いたい。
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Causes of Carryover |
研究棟改修工事のため、研究図書の管理に大きな制限がかかり、新たな文献購入などが滞ってしまったため。 また次年度には、次年度発行予定の小学校用教科用図書および教師用指導書の購入を予定しているのだが、その予定金額が当初の予定より高いことがわかったため、次年度使用額として残すことにしたため。
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