2021 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の言語発達に基づく作文技術の系統化と作文カリキュラムの開発
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19K02673
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
森田 香緒里 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (20334021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 作文技術 / 文章表現 / 相手意識 / 作文指導 / 作文評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童生徒の言語発達と作文技術の系統化を融合した作文カリキュラムとその評価法を開発することを目的としたものである。本年度は、以下の2点の研究を行った。 (1)2021年度使用開始の中学校用検定国語教科書及び教師用指導書を4社分入手し、作文単元における作文技術の内容と配列についての分析を行った。特に意見文などの論証を伴う文種に着目したところ、主張と根拠という論証構造の形式については各社共通で言及があるものの、根拠の妥当性の吟味や根拠の配列、主張と根拠をつなげる理由づけの書き方、例示の仕方(例証の方法)などについての説明は各社異なることがわかった。これらの点は意見文に説得力を持たせるために必要な技術であり、中学校段階において整備すべき作文技術であることを指摘した。 (2)作文評価の一つに自己評価があげられるが、その前提として、小学生は文章表現においてどのようなメタ認知を行っているかについて調査・分析を行い、以下の2点を明らかにした。①低学年では、話題や内容面についてのメタ認知が顕著に見られ、中学年・高学年になってくると語彙選択面や文構成面に関わるメタ認知が見られるようになる。②高学年では文構成面でのメタ認知が最も行われており、振り返り記述の内容分析からは、書く過程において随時メタ認知が働いていることが推察された。 ①②から、児童生徒が作文を自己評価する際の、評価項目と発達段階との相関について基礎情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、公立の小中学校で作文評価に関わる調査を行う予定だった。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で調査計画が思うように遂行できなかった。そのため、作文技術の再整備に関わる調査と、児童生徒の作文自己評価に関わる調査の二つに着手することとし、研究期間の延長を申請した。研究計画の見直しとともに、公立学校での調査の内容や実施方法についても再考が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
公立学校での児童生徒を対象とした作文調査が難しい場合は、現職教員を対象とした作文評価の実態調査と意見聴取に切り替える。作文評価に関わる実態と課題、現職教員の評価技能について明らかにすることで、作文評価法の開発に迫りたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた公立の小中学校での調査ができなかったため。次年度に調査を先送りしたため、その際に使用する予定である。
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