2023 Fiscal Year Annual Research Report
革命的・累積的な知識の成長を織り込んだ算数・数学科カリキュラムの開発研究
Project/Area Number |
19K02676
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池田 敏和 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70212777)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 革命的な知識獲得 / 累積的な知識獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
抽象化を「もの(object)」の抽象化、「操作(operation)」の抽象化にわけたとき、抽象化される前の「もの」「操作」と抽象化された後の「もの」「操作」の間には大きな壁があり、その大きな壁を乗り越える行為が革命的な知識獲得である。具体的には、「操作」の抽象化を考えた時、折り紙を折ったり紙でつくられた図形を動かしたりする操作が、平行移動、回転移動等といった作図的操作に置き換わることで、誰もが客観的に理解して作図できる操作になる。さらにいえば、平行移動、回転移動等の作図による操作は、行列変換という操作に置き換えられることで、数式処理で操作できることになる。このように、問題に遭遇し、新たな抽象化された操作を創り上げる行為が、革命的な知識獲得になる。数学の知識獲得では、まずは、これまで獲得した数学的の知識を用いることで、解決が可能になる範囲をどんどん広げていく。これが累積的な知識獲得である。しかし、範囲を拡げていく中で、当然、これまでの数学的知識では、解決できない問題に直面する。そこで、これまで考えてこなかった新たな視点から数学を捉え表現していくことで、これまでに構築していない新たな数学の断片が構築される。同じ行為でありながら、操作が異なるものができあがり、その断片をつなぎ合わせていくことで、以前の操作とは異なる新たな数学が創り上げられる(革命的な知識獲得)。本研究では、革命的な知識獲得と累積的な知識獲得からなる複数の教材開発を行った。ただし、これらの活動を組み合して具体的なカリキュラムを構築するまでには至らなかった。今後の研究が期待される。
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