2020 Fiscal Year Research-status Report
中学校理科における小・中学校間の円滑な接続のための学習支援システムの構築
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19K02681
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
石井 俊行 奈良教育大学, 理科教育講座, 教授 (50636446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱運動 / 熱膨張 / 電子レンジ / 月の満ち欠け |
Outline of Annual Research Achievements |
小学4年「ものの温度と体積」の単元で、「粒の動きが激しくなること」「温度が高くなること」「体積が大きくこと」の関係性を理解させることで,「物の温度が上昇すると,体積が大きくなるのはなぜなのか」を粒の熱運動で捉えさせられるのではないかと考え調査を実施した.その結果、通常の授業を受けた児童(統制群)は,「水」「空気」「金属」の学習を終えても誤概念から脱却できず,依然として誤概念を持ち続けたままであった.一方,「発泡スチロール球による指導」と「電子レンジによる指導」を導入した実験群の児童は,「水」の実験後には8割以上が「水」の熱膨張を粒の熱運動で捉えることができた.また,この捉え方は「空気」「金属」の予想の段階でも転移し,実験後やテストでも8割以上の児童が「空気」「金属」の熱膨張を粒の熱運動で捉え,テストにおける「水」「空気」「金属」の問のすべてで有意な差があることが認められた. また、小学4年と小学6年で「月の満ち欠け」について学習し、中学3年でも扱う。しかし、依然として「月の満ち欠け」については、中学生は理解できていない。その要因を解明することを目的に行った。その結果、「東西南北という方角を理解していても、模式図に当てはめて考えることができない」、「太陽・月・地球の位置関係の違いにより月の形や月の見える時間が変わることが理解できていない」、「月の公転周期を記憶していても、模式図に当てはめて考えることができない」が大きな要因であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地層に関してのつまずきの調査分析で、地層の成り立ちがうまく把握できない要因が明らかになり、それを日本科学教育学会に投稿したが、リジェクトされてしまったことを昨年報告した。このため、再度、指摘された点を改良した調査問題を作成し、その調査を2021年3月に実施した。現在、そのデータを分析中である。 また、小学5年で学習する算数「単位量当たりの大きさ」の学習と中学校における「物質の密度」との関係を見極め、レディネスとしての「単位当たり量の大きさ」は、どのように「物質の密度」に活かされるのかに関する論文を現在作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
小・中学校間における理科学習における円滑な接続のための学習を実施するために、以下のことを検討中である。 ①小学5年で学習する算数での「単位量当たりの大きさ」の学習と中学校における「物質の密度」「圧力」「速度」とはどのような理解に相関があるのかを明らかにしたい。 ②小学4年での「熱膨張」と「ものの温まり方」についてうまく連携させることで、従来よりもさらに学習効果が上がるのかを明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)