2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の楷書筆順における行書系筆順の定着過程に関する研究
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19K02683
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 仁志 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40274039)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筆順 / 字種 / 抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「日本ならではの文字学習環境で身に付けられた運筆の順序が、楷書中心の書字環境に急速に変化した明治期以降の楷書筆順に影響を与え、行書系筆順として定着した」という仮説のもと、日本の楷書筆順を特徴づける行書系筆順が定着した過程について、江戸期の寺子屋で広く使用された往来物における運筆順序の分析を通して明らかにするとともに、通史的に解釈して筆順史に位置付けることを目的とする。 2019年度は、調査対象とする往来物資料を収集し整理し(当初計画「1」)、調査する字種を選定した(当初計画「2」)。 2020年度は、の往来物資料の行草体から運筆順序の抽出作業を実施した(当初計画「3」)が、完了しなかった。 2021年度は、2020年度の作業(当初計画の「3」)を引き続き行ったが、完了するに至らなかった。現有の石川松太郎監修『往来物大系』全十巻(1992-1994)所収の往来物資料757点から当初計画の「2」で選定した40字種「飛 必 馬 長 門 無 右 左 有 書 臣 非 羽 兆 老 及 司 風 川 州 寒 隹 止 上 出 火 用 田 王 生 耳 取 坐 女 方 土 母 興 重 癶」について、往来物資料から該当文字を抜き出す作業を引き続き行いながら、今後の作業の効率性を優先させて、抜き出しを終えた字種から運筆順序を抽出した(未完了)。また、これまでに抽出した運筆順序群を整理しながら、効率性の観点から延長年度の作業方針を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、作業補助員(大学院生5名)の雇用が可能になった段階で、「3」の往来物資料の行草体から運筆順序を抽出する作業の遅れを取り戻す予定であったが、新型コロナウィルス感染症をめぐる状況が依然不安定で、雇用の見通しが立たなかった。このような状況を受けて2020年度に引き続き、研究代表者のみで作業を進めたが、運筆順序の抽出作業を完了するまでにはいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の趣旨を損なわずに研究成果が見込める範囲内まで研究を縮小して実施する。 その方針のもとで当初計画「3」までの作業の終了を待って、往来物資料から抽出した運筆順序と対応する明治期以降今日までの楷書筆順との相関について分析する(当初計画「4」)。その上で、行書系筆順定着の過程を筆順史に位置付け、最終的に報告書にまとめる(当初計画「5」「6」)。
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Causes of Carryover |
2021年度は、作業補助員(大学院生5名)の雇用が可能になった段階で、「3」の往来物資料の行草体から運筆順序 を抽出する作業から始める予定であったが、新型コロナウィルス感染症をめぐる状況が不安定で雇用及び安全な作業の見通しが立たなかった。研究代表者のみで作業を進めたが、個人で対応できる作業量には限界があり、次年度にかなりの作業を残した。 2022年度は、当初計画の趣旨を損なわずに研究成果が見込める範囲内で研究を縮小した上で、作業補助員(大学院生5-10名)を確実に雇用し、当初計画「3」の文字の抜き出し作業とデータの整理、「4」の運筆順序の抽出作業を早い段階で依頼する(人件費・謝金)。「4」までの作業終了後すみやかに、当初計画「5」「6」である行書系筆順定着過程の筆順史への位置付け、2023年2月に報告書の作成を行い研究を完了する。(旅費、その他)。
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