2020 Fiscal Year Research-status Report
昭和20・30年代の文集を用いて多角的に子どもの表現力を探求する研究
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19K02688
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
有働 玲子 聖徳大学, 児童学部, 教授 (50232880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 裕子 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (00646292)
稲井 達也 大正大学, 人間学部, 教授 (30637327)
竹田 晃子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (60423993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学校文集 / 東京都 / 戦後 / 昭和20・30年代 / 作文・綴り方 / 指導 / 国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍の影響のため、破損の激しい第一次資料の基礎的かつ継続的な修復に重点を置いた。その考察に関しては、東京都の国語教育研究者の作文・綴り方指導に関する知見を得ることとした。 修復に関する経過は次の通りである。第一次資料の扱いに関しては地域文集・学校文集・学級文集のそれぞれの中心となる文集を抽出するために、基礎的な書誌作業を緻密に実施した。更に文集の概要の把握を目標にし、文集タイトル名・号数・総合ページ数・文集の種類(所収されている文章の種類(巻頭言、生活文、児童詩、記録、読書感想文、短歌俳句、創作劇、創作童話、新聞、楽譜、編集後記、児童の絵画、児童の表現物、挿絵等)・指導の言葉の有無・サイズ・発行年月日・発行主体(都府県町村等))の諸項目について一覧表を作成した。また、それらに閲覧のために符号を付した。 考察に関しては、戦後の昭和20・30年代の作文・綴り方指導に関する知見を深めるねらいを持ち、主として同時代の国語教育を考察している研究者との交流を行った。特に戦後の東京都の国語教育の動向に明るい研究者達との話し合いにより、綴り方指導者と作文指導者の動向について、『実践国語』に掲載されている文章や教師の指導に関する知見を得る事ができた。 その成果として、2021年2月23日東京都品川区立総合区民会館において、公開研究会「戦後の学校文集にみる子どもの表現力」(定員20名)を開催した。帝京大学教職大学院教授小山恵美子氏、東京都小学校国語研究部長・東京都墨田区両国小学校校長平林久美子氏、板橋区桜川中学校副校長川畑秀成氏を招き、聖徳大学有働玲子の提案のもとに、オンライン形式で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
架蔵資料のみに限定し4月から分類を行い、8月から抽出作業に入った。その結果、9月から10月より特に特色を持つ東京都新宿区、墨田区、杉並区、文京区の文集を作文指導者に考察の依頼を行った。その成果発表として2021年2月に研究会を行った。 同時代的な評価に関しては上記の過程において、当時の東京都杉並区で綴り方指導に関わっていた今井成司氏、児童詩指導を行っていた畑島喜久生氏より知見を頂く予定をしていたが、コロナ禍のため、話し合い会合及びご意見をいただく取材作業が中断状態になっている。しかし全ての部門の研究者との連絡はとれていて、各部門の内部での話し合いは行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの方向性を予定している。 第1には、東京都の戦後の表現指導として昭和20年代後半から昭和30年代前半に限定して、動向をまとめてみる。特に話し言葉の指導との関連から主として東京都杉並区の事例を扱う。児童詩・作文教育者及び国語教育者であった吉田瑞穂にも言及する。 第2には、東京都の学級文集が数多く残されている新宿区の考察を事例として行う。新宿区淀橋第二小学校等具体的な事例を扱う 第3には、共同研究者の視座である、読書・方言・児童文学の立場から意見交換を行い、各方面よりの知見を論文化していく。以上を推進する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、具体的な話し合いが全部門で十分に行えなかった。読書指導、方言指導、児童文学指導に関する専門家招聘研究会が実施不可能となり、次年度使用額が生じた。 特に長期にわたってそのような会合を行う企画が全て実施できなかった。更に、新型コロナウウィルス感染拡大により、県をまたいだ移動が制限されたため東京都以外の地域に出向く事が困難であり、その方面の予算を残している。 加えて、第一次資料である文集を裁断して文書にすることは児童文化財の側面から実施しない方針となったため、その方面の予算を使っていない。以上がその理由である。 使用計画としては専門的処理を施した資料保存、保存した資料を基にした研究発表会等の開催、最終的な報告書の作成や配布に使用する計画である。
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Research Products
(8 results)