2022 Fiscal Year Research-status Report
昭和20・30年代の文集を用いて多角的に子どもの表現力を探求する研究
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19K02688
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
有働 玲子 聖徳大学, 教育学部, 教授 (50232880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 裕子 聖徳大学, 教育学部, 准教授 (00646292)
稲井 達也 大正大学, 人間学部, 教授 (30637327)
竹田 晃子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60423993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国語教育 / 日本語学 / 文集 / 話しことば / 表現力 / 方言 / 指導 / 読者 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の基本的な目的である、戦後期の作文・綴り方に関する資料を分類し、整理し、概要の全体像を、書誌的に行うことができる状態となってきた。 本年度、進行できたことは諸領域の研究分担者がコロナ禍ながらも各自がそれぞれの研究をすすめることができていることである。コロナ禍の影響は大きい。最初の計画はほとんど進めることは難しく、一時期もとに戻ったものの、研究計画を変更していく必要があったため、可能である範囲に限定をかけることで、合意を行い、4人の各領域において、直接的ではないものの、間接的な形で研究をすすめている。 方言領域は、特に人的な関係を伴うために、人を介さない、文書的なものをまとめる宝庫を取っている。児童文学領域は傍証および先行研究に関して、人を介さない、文書的なものをまとめるような方向をとっている。読書領域は、児童期を経てどのような指導が現在も継承されているのかをまとめる方向をとっている。国語領域は、当時の指導者による実践学校及び実践遂行に関する、人を介さない、文書的なものをまとめる方向をとっていった。 とりわけ、全国大学国語教育学会、2022年5月29日オンライン第142会において、言語環境に関して、山形大学の小川雅子氏と、話しことばと教科書づくりに関して、東北学院大学の渡辺通子氏、東京都の実践に関して、東京都教職員実践センターの平林久美子氏を招き、ランドテーブルを行ったことである。 そのことから、より広い視野からの展開が期待できることが予想できた。とりわけ、具体的な指導者の声を集める必要を痛感することができた。存命である指導者の存在なども視野に入れ、重層化してまとめる方向を考えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が、このように長引くなかでありつつも、各領域の研究者の力により、それぞれの工夫を経て、研究を独自の方法を編み出しながら、進行をすすめている。 音声的、及び、人間的な研究方法はすべて実施することはできないものの、それを文字化した記録、及び、話しことばと関わる、作文指導の系譜を知ることが出来ている。ほとんどそういったものは、損傷が激しく、保存状態が悪いものばかりである。専門的な技術及び専門的な機械を要し、しかも、研究的な保存を可能にする、人々を見つけるまでに、思いの他、時間を要している。極めて数は少ないものであるが、高額であり、電子化するために時間を要することがある。 しかし、全体を保存できる状態には、なっている。特に、貴重な文集に関しての抽出を行い、その電子化の方向を目指しており、貴重な保存資料となる見込みが高い。
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Strategy for Future Research Activity |
残った研究費で、電子化をすすめる。そのための課題は、3つある。 第1は、最重要でありながら、既に摩耗しており、破損が厳しい貴重な資料の電子化保存のために、時間と高額な費用を必要とすることである。そのため、すべての資料の中での重要度をつけていき、優先順位の高いものを電子化することになる。 第2は、第1と重複することになるが、重要度の高いものを、厳選するための、読み込み作業を要することである。コロナ禍の経過とともに、貴重資料をともに共同研究者が一同に合して読む必要が生じていることである。既に最終年度であるため、限定を掛ける必要が生じている。 第3は、費用の問題である。電子化に関しての費用が当初に比べて、高額になってしまったことである。概算からみても、可能な範囲が、限定しなければならない。 以上の3つの課題をふまえて、さらに電子化をすすめていきたい。
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Causes of Carryover |
電子保存を目指しているため、その目的に沿うような専門的な技術を持つ業者を探し、その方法と手順が、本研究の目的に合致することを重視している。共同研究者の合意を得ながら、その作業を遂行しており、単純な保存では共同研究者の意図に沿うような形として、保存ができないことが判明した。 そのため、計画を開始する時に想定していた専門業者では、保存および電子化の方法が合致しないことととなった。そういった経過を踏まえて、共同研究者のすべてが納得できるような形と保存の状態であることを第一義にして、業者を探す作業を開始した。そのことに、コロナ禍の社会状況も影響し、多大なる時間を要することとなった。 現在は、それらの経過を踏まえて、貴重な専門的資料であり、同時に破損の傾向が著しい、保存困難度の高い資料のみを、抽出することを行った。その手順を踏まえて、専門的技術を要する業者に依頼をする予定である。
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Research Products
(17 results)