2020 Fiscal Year Research-status Report
Individual Experiments and Classwork Design based on Microscale Experiment Solving Present Problem in Science Education
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19K02692
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
佐藤 美子 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (50734521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 理科教育 / 小学校理科 / 中学校理科 / 教材開発 / マイクロスケール実験 / プログラミング学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である「理科教育の現代的課題の解決を図るマイクロスケール実験による個別実験と授業デザイン」に向けて、令和2年度は教材開発と実践活動及び学会発表、海外視察を中心に取り組んだ。継続的に学会発表、論文による公表も行った。教材開発は、次の2点を中心に行った。1)マイクロスケール実験の理科実験への応用、2)気体の性質を実感するための気体の発生と捕集方法の検討。 いずれも、理科教育の現代的課題の解決を図るため、小・中学校の次期学習指導要領の改訂の主旨に沿って、児童・生徒が主体的に関わり、実感を伴う教材実験の開発を行った。プログラミングが必修化され、学習成果の定着化及び応用を通して学習の有用性を実感する教材が必要と判断し、理科実験に応用した。1)については、小学校4年理科の単元「電気の通り道」を対象に、プログラミング教材で汎用性の高い「micro:bit」を用いて教材開発を行った。通常の回路構成でLEDの点灯による導通を確認する教材はすでに開発したが、micro:bitを用いて回路のスイッチの役目を果たすプログラムを作成した。マイクロスケール実験による約10種類の身近な材料についての導通の可否を、micro:bitを通して豆電球の点灯で判断できる。2)については、以前に開発したマイクロスケ-ル実験によるセルプレートと小型プラスチック容器を用いた教材実験に、改良を加えた。研究目的の「個別実験」の実現に向けて、一人で操作できるように工夫した。 また、理科教育の現代的課題を探り、マイクロスケール実験の動向を調査するため、イギリスへの海外出張(2020年3月)を行い、小学校授業の参観及び世界的な教育展示会の見学も行った。今までの研究成果の実践的検証として、教員を対象にした実験講座の講師をつとめ、開発した教材実験の紹介を行った。令和2年度における、論文発表は2件、学会発表は3件である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の趣旨にある「理科教育の現代的課題の解決」と「マイクロスケール実験による個別実験」を重点的に行った。「授業デザイン」の構築は次年度に向けての取組とした。 「理科教育の現代的課題の解決」として、新学習指導要領に沿った理科実験のあり方を検討した。小学校でのプログラミング学習の必修化、さらに中学校、高校におけるプログラミング学習の発展に注目して、理科実験とプログラミング学習の有機的連携を図った。マイクロスケール実験においては、実験結果の可視化および定量化が検討課題であったことも踏まえ、理科実験とプログラミング学習の連携は有効である。 具体的は、micro:bitにより、小学校4年理科「電気の通り道」の単元における教材実験で、測定値をパソコンやタブレットへ転送して可視化を図り、定量的な考察を促した。教材開発はすでに完了しており、今後は授業での活用をとおして有効性を検証する段階である。 「マイクロスケール実験による個別実験」の趣旨に沿った研究テーマとして、気体の性質を学習する「ミニ試験管による気体発生と性質」を取りあげた。酸素と二酸化炭素を対象にした教材実験は、ほぼ安全に実施できる段階であるが、いくつかの課題も浮かび上がってきた。すなわち、個別実験をより安全に実施するための操作の工夫、発生させるための材料の検討などである。この教材実験についても、今後の授業や実験教室での実践を通して改題を解決する予定である。 イギリスでの授業参観を通して、小学校における対話的な授業展開や児童目線に立った適切な指導の重要性を認識したことがあげられるが、これを今後の授業デザインの構築に反映させることが重要である。また、展示会の見学により、理科教材実験の世界的な動向と、マイクロスケール実験やプログラム学習に必要な教材について知ることができた。今後の教材開発にとって大きな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、前年度に開発した教材実験を用いて、その実験教材としての有効性を検証するため、教員志望の学生を対象にした授業での試行、可能であれば小学校や中学校での授業での活用、地域の実験教室、教員研修、ひらめき☆ときめきサイエンス等においての活用を優先的に実施する。教材としての有効性の確認だけでなく、今後の研究の課題の抽出も念頭において実施する。また授業や教員研修における実践的検証に向けて、操作の簡略化、マニュアルの整備も行う。 研究課題であげている「マイクロスケール実験による個別実験」の趣旨に沿った教材開発のテーマをさらに追加して行う。理科を学ぶことの有用性を実感させることを狙いとして、「キュリー夫人の理科教室」(丸善出版)で紹介されている、様々な実験テーマについて、個別実験が可能になるようマイクロスケール実験の手法を用いて改良を加えて教材化する。すでにいくつかの実験テーマについては試行済みであるが、さらに実践に向けて検討を加える。 また、研究課題のひとつである「授業デザイン」の構築に向けて、具体的な授業案の「作成にも着手する。研究成果については、国内学会(日本理科教育学会など)や国際学会での発表も計画している。論文による公表も積極的に行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度においては、コロナの感染状況により、関係する学会がすべてリモートによる開催となった、そのため国内出張費の支出がなかった。また予定していた授業や実験教室も同様の理由でリモートやあるいは全く実施されず、それに伴う材料費の出費も少なかった。 以上により消耗品費を次年度に使用することとした。
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Research Products
(5 results)