2019 Fiscal Year Research-status Report
地域社会少年層における話しことばの実態と教育に関する基礎的研究
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19K02696
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
津田 智史 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (30726443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 少年層の言語実態 / 地域社会の言語実態 / 方言教育 / 話しことば教育 / 鶴岡調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ことばをめぐる環境は、大きく変容しつつある。「新学習指導要領」では、共通語と方言、また世代間によることばの違いを意識、そして理解させることの必要性を謳っているが、現状の国語科教育では、残念ながら地域のことばの理解を進める教育という面において十分であるとは言い難い。そこで、本研究では、①地域社会における話しことばについて実態調査から明らかにすること、そのうえで②話しことばの教育実践法を確立・提示することを目指している。 まず、研究目的遂行のためには調査対象である山形県鶴岡市の少年層の言語実態を把握することが優先事項であり、本年度は次年度に予定している少年層の言語実態を把握するための大規模調査の準備をおこなった。 対象地域の少年層の話しことばにかかわる言語実態を知るため、8月に小学5年生、中学2年生、高校2年生(両親が庄内出身)を対象として、全体で計16名に準備調査をおこなった。面接調査で実施し、場面や相手によることばの使い分けやことばの意識、また伝統方言の理解と使用に関する把握をおこなった。その結果からは、少年層の話しことばの使い分けや共通語と方言に関する意識の傾向の一端が明らかになり、かつ校種による伝統方言に対する意識の違いなどが窺えた。また、準備調査結果のデータを分析しつつ、次年度の本調査に向けて調査項目などの修正を進めた。 加えて、準備調査の結果については、研究代表者および研究協力者の専門分野を生かしつつそのデータを検討し、話しことばの教育への活用方法など、教育実践的な方法論の考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次年度に大々的におこなう本調査の準備期間という位置づけであった。 準備調査の結果をもとにして、本調査のための調査項目や方法の修正・検討をおこない、おおよその指針をもつことができた。その中で、少年層の言語実態の一端を窺えたことは特筆に値するが、対象人数が少数であり、研究成果としての公表までには至らなかった。また、本調査に向けて、対象地域の教育委員会や図書館、学校など、協力関係の構築も順調に進んでいる。次年度の本調査に向けての準備は順調であるといえる。逆にいえば、それ以上の進展はなかったということであり、総合的に考えると「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に次の2つの調査を実施する。 1)言語意識および言語生活に関するアンケート調査 2)伝統方言の理解と使用に関する面接調査 1)では小・中・高を対象に各100名程度、2)では各30名程度の規模で実施予定である(調査協力の学校には内諾済み)。同時に、各校種数名ずつの会話データ(友人同士の会話、調査者との会話など)の収集もおこなう。それらのデータをもとに、話しことば教育の実践的な方法論を検討していく。そして協力機関や地域への還元として、最終年度には対象地域での話しことば教育に関する授業実践を計画している。
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Causes of Carryover |
準備調査のデータ整理の人件費を計上していたが、対象人数や調査内容(選択式)の関係で研究協力者内でデータ整理が十分におこなえた。次年度の調査は大規模かつ、内容も複雑化するので、そのデータ整理の人件費に当てる予定である。
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