2020 Fiscal Year Research-status Report
東アジア市民性の育成のための日韓の社会科授業分析と共通教材開発
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19K02697
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高 吉嬉 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (20344781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 ヒョン辰 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10591860)
前田 輪音 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30326540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東アジア(日中韓) / 社会科 / 市民性(シティズンシップ) / 教材研究 / 多文化共生 / 人権 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍であったため、日韓両国の共通教材開発に向けて、両国の社会科授業を見学し、その内容を分析することが非常に困難であった。そのため、以下のようにオンラインでの研究活動を行った。
① 2020年9月18日(金)、オンラインで、韓国慶尚南道の玉宗高等学校で歴史を教えながら、30年近く日韓交流にも力を入れてきた申振均先生から、「コロナ19の状況に対する韓国現場の対応」という題で話を聞く研究会を開催した。現在世界が経験しているコロナによるパンデミックのなか、今後日韓両国をはじめ世界は教育活動のなかでそれにどのように対応していくのかが問われており、この研究会はそれを考える貴重な機会となった。この研究会は研究代表者・高吉嬉が主催し、研究分担者の前田輪音・金ヒョン辰が参加したが、前田は2021年3月、この研究会の話を「オンライン化における一大学教員の教育と研究の可能性と限界 : Zoom技術習得、「主権者教育」アンケート、韓国調査、多様な研究会参加」(『北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要』第11号、33~42頁)のなかで取り上げ、この研究会の意義を深めた。
② 2021年3月17日(水)、オンラインで、北海道札幌市の公立中学校で社会科を教えている平井敦子先生に日本軍「慰安婦」の実践(ねらい・概要・中学生の反応等)に関する話を聞く研究会を開催し、前田輪音・金ヒョン辰・高吉嬉が参加した。この研究会は、研究分担者である前田輪音が企画したものであったが、日本軍「慰安婦」の問題は日韓両国のみならず世界の女性の人権にかかわる非常に重要な社会的課題であり、中学生を対象に構想・実践・検証を継続的に行われている平井先生の話はたいへん重要かつ貴重なものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
【研究実績の概要】で述べたように、2020年度はコロナ禍であったため、日韓両国の共通教材開発に向けて、両国の社会科授業を見学し、その内容を分析することが非常に困難であった。そのため、オンラインでの研究会を開催したが、当初の研究活動の目標には及ばないものであった。しかし、コロナ禍の厳しい状況のなかでも、2回のオンライン研究会を開催し、前田輪音・金ヒョンジン・高吉嬉のそれぞれが研究論文や学会発表などを行ったことは成果だといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は1年間、思うように調査等の研究活動ができなかったことを受け、2021年度中に当初予定した研究活動を終えることは非常に難しいことが予想される。そこで、最終年度を1年延ばし、2021年度と2022年度の2年間にわたって、日韓両国の授業参観や教材研究などの研究活動を行い、その成果をまとめていく予定である。まず、今年度はコロナの状況が落ち着くのを期待し、昨年度に出来なかった研究活動を以下のように行う予定である。 ① 2021年度に東アジア市民性に関する授業実践に対する日韓両国の教師意識調査を行う。その時、韓国側は金・高が、日本側は前田・高が担当する。 ② 2021年度中に韓国の学校訪問を実行することを目標とする。そのため、上半期には日本(北海道・山形)と韓国間のネット会議を通して事前準備を行う。 ③ また、韓国の学校訪問の際、授業できるように各自教材研究を行う(人権や平和の問題-前田、環境問題-金、多文化共生社会の構築-高)。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、2020年度はコロナ禍であったため、日韓両国の教師意識調査の実施や韓国への出張ができなかったからである。そこで、最終年度を1年延ばし、2021年度と2022年度の研究活動を行うための金額を確保する必要がある。
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Research Products
(7 results)