2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成学部における歌唱指導のためのeラーニング教材の開発
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19K02709
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
栗栖 由美子 大分大学, 教育学部, 教授 (30305023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿南 雅也 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (10517080)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレクサンダー・テクニーク / 歌唱指導 / 発声 / 姿勢 / 呼吸 / 響き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教員養成学部・小学校音楽科の講義において使用可能な、歌唱指導のためのeラーニング教材を開発することである。本研究は3段階からなり、本年度は、その第2段階にあたる。第2段階の目標は、歌唱指導の試案テキストと、三次元動作解析システムによる試案動画教材を作成し、講義での実践をとおして、eラーニング教材を完成させることとしている。 令和3年度は、試案動画教材作成の前段階として、三次元動作解析システムによる試行をとおして、通常の歌唱時立位姿勢と、歩行動作後の歌唱時立位姿勢を比較し、歩行による即時効果の結果を、『歌唱指導における三次元動作解析システムの可能性』(2022年3月)に報告した。 この三次元動作解析システムによる実験は、令和3年11月11日に、大分大学研究マネジメント機構において実施した。被験者は、大分大学教育学部4年に在籍する、合唱経験のある男子学生1名である。今回は、歩行動作前、歩行動作時、歩行動作後の計測データと、歌声の関係についても明らかにするため、録音も行った。なお、録音した歌唱については、アンケート調査も実施している。 試行実験の結果とアンケート調査の結果を合わせると、以下のように結論付けられた。歩行動作前に歌唱した時の立位姿勢と、歩行動作後、歌唱した時の立位姿勢を比較すると、後者は、頭部角度がより後傾するとともに、胸郭角度もわずかながら後傾し、加えて、腰部角度は前に傾き進展しているとのデータ結果が得られた。また、その音声比較においては、80%以上の学生が、後者の方が、声や表現、強弱、テンポ等の視点から、仕上がっている歌唱だと判断している。拙著『アレクサンダー・テクニークにおける動きを用いた歌唱指導の可能性』(2015年)では、身体の構造から歩行動作の有効性を述べたが、今回の結論は、それを裏付けるものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度の計画では、試案動画教材の開発、eラーニング教材の検討、アレクサンダー・テクニークの技術習得を掲げたが、コロナウイルスの影響により、予定していたアレクサンダー・テクニークのレッスンを1度も受講することができなかった。そのため、試案動画をはじめとする、eラーニング教材の開発が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1回でも多く、アレクサンダー・テクニークの技術習得に赴くとともに、『初等教育教科に関する科目「音楽」における新しい授業構成の提案』(2020年)において提案した3回の授業の枠組みの具体化に加えて、本学で実施されている1回の授業においても具体化していく。 三次元動作解析システムを用いた今回の試行実験では、頭部角度、胸郭角度、骨盤角度、頸部角度、腰部角度の計測にとどまったが、歌唱における同システム導入の有効性は確認できた。次のステップとして、本システムを導入した実験の本実施を行い、関節角度に加え、歩行動作における荷重量、身体重心位置や頸部筋(僧帽筋上部繊維)等を計測するとともに、被験者においても、合唱経験者のみの測定にとどまらず、歌唱経験のない学生や、プロの歌手でも実験を行い、新たな歌唱指導プログラムの構築へと発展させていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者(栗栖)は、コロナウイルスの影響により、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受講することが全くできなかったため、旅費、その他の経費で支払うはずであったレッスン代を使用することができず、次年度使用額が発生した。次年度は、コロナウイルスが終息次第、アレクサンダー・テクニークの受講料とその経費、また、学会発表等の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)