2022 Fiscal Year Annual Research Report
創発的な価値生成プロセスを促進する演奏表現指導力に関する研究
Project/Area Number |
19K02710
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
菅 裕 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30272090)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音楽科教育 / 創作 / 協働学習 / 自己調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の箏による中学生の創作授業に焦点を当て,グループ活動において,生徒同士がアイデアを出し合いながら筝の合奏による音楽を創り上げていくプロセスを分析した。その結果,生徒たちのグループ活動は,教師によって提示された作品の長さを一分間にまで拡大するという課題に向かって,リズムや旋律の断片を発展させたり,既存の楽曲の旋律を引用するなど,教師が示唆した方略を積極的に採用する一方で,自分たちの演奏の評価については,プラン通り演奏できているか,タイミングのずれなどのミスはないかなどに限定されており,演奏表現の質的な変容についての評価やそれに基づく修正活動が行われておらず,また教師もそのことについての指導を行っていないということが明らかとなった。 音楽創作活動中の生徒間の対話を分析し,協働的な学習調整が音楽作品の制作過程にどのような影響を与えるのかについて明らかにすることを目的として,中学校第2学年を対象とする音楽科授業中,短歌に旋律をつけた作品の修正場面におけるグループ内での対話について,自己調整学習における予考・遂行・省察の三つの段階の視点からコーディングを実施した。また対話の特徴から各グループの学習調整モードを社会的共有調整型・グループ目標指向指示的調整型・他者調整型・非共有調整型の4種に分類した。その結果,社会的共有調整型とグループ目標指向指示的調整型のグループ内の対話では,試唱の直後に,試唱中に自身の内面で生起したイメージをメタ認知的に評価したモニタリング発言が複数生起しており,それがきっかけとなって次の課題提起や音楽的提案,作業方略につながっていることが明らかとなった。
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