2020 Fiscal Year Research-status Report
Clinical Educational Intervention for Children with Intellectual Disability in Learning Basic Mathematics -Working with the Database http://sup-math123right.org/-
Project/Area Number |
19K02711
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小田切 忠人 琉球大学, 教育学部, 名誉教授 (00112441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数認識 / 十進法の理解 / 位取り原理の理解 / 概念的理解 / 知的障がい / スペシャルニーズ / 学習困難 / 臨床的教育介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障がいのある児童・生徒は、数を概念的に理解することに決定的とも言える困難がある。具体的には、数唱を少しずつ訓練することで高等部を卒業するときは一~百までの数の読み書きができるようになるが、例えば、十円玉を「3個」、そして一円玉を「4個」と答えることができても、「合わせて何円」に対して「七円」などと答え、「三十四」円と、その数を同定できない。この課題について、数唱よろしく訓練しても、五円玉や五十円玉、五百円玉が複数含まれる場合などでは行き詰まり、すなわち、少しずつ訓練するという仕方では、期待する学習達成は期待できない。この教育現場の、十進法の考えを理解するという実践的課題に対して、先行研究で、知的障がいがあっても、十進法を概念的に理解することが可能であることを示した。 本研究では、その成果を新たな事例で検証、一般化することを目的とした。そして、本年度までに、先行研究の事例と同様に、十進法を概念的に(手続きを覚えこむことではない)理解できることを確認した。そして、その臨床的な教育介入の実際のデータベース化を進めた。このデータベースは、教育現場に直接的に本研究成果を還元することになる。 また、知的障がいのある児童・生徒の場合、数の学習では小学一年の一学期の教育課程を進級しても繰り返すことになることが学習困難の特徴として観察されるが、その学習困難を乗り越えて、その先に学習を進めるために必要な学習の過程を明らかにすることが、教育実践の課題となっている。この課題に対して、本研究では、本年度までに、就学前から就学後までの数認識の、必要な変容(方向性のある認識の変容)についても、臨床的な教育介入で確認した。また、そのデータベース化を進めた。 十進法の概念的な学習の進展・進行、および、就学前から就学後に期待される数認識の変容についてはさらに観察する必要があり、臨床的教育介入を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染拡大により対面による教育介入は大きく制限されたが、具体的には、出張による臨床的教育介入は取り止めたが、「宿題」とWEBによる教育介入で、また大学での臨床的教育介入は緊急事態宣言時は中断したものの感染防止に留意して継続して、知的障がいのある児童・生徒の数認識の発達(方向性のある認識の変容)を観察することはできた。 新型コロナのさらなる感染拡大は危惧されるところであるが、今後のワクチン接種などの対策の効果も期待でき、研究予定期間内に予定通りに研究を進められると見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ワクチン接種がわが国で開始され、今後ワクチン接種が急速に進むものと期待できるので、その状況を踏まえて、停止していた出張を行い、対面による臨床的教育介入を全面的に再開する。それまでの間、対面での対応ができない被験児童・生徒に対しては、引き続き郵送による「宿題」だけで教育介入を進め、対面で確認する必要がある場合は、十分ではないが、WEBで、すなわち、リモートの教育介入で対応する。なお、感染予防に留意して続けてきた対面による教育介入は、引き続き継続する。
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Causes of Carryover |
年度当初からの新型コロナの感染拡大で、予定していた出張を取りやめ、出張で予定していた教育介入はWEBを補助的に使って郵送教材で進めることにした。年度途中で、これまで使っていたパソコンが故障した。修理対応期間を過ぎていた物については、新たなパソコンを購入して対応した。修理対応期間内の物については、修理で対応した。旅費予算をこれらの修理と購入に振り向けた。関連して、必要なソフトのバージョンアップ(買い替え)も進めたが、若干額を次年度に繰り越すことになった。具体的には、パソコンソフトのバージョンアップなどは最小限にして、その残りと合わせて、繰り越し分は、今年度実施できなかった対面による臨床的教育介入が1回でも多くできるように出張経費に充てる。もし、今年度のように出張ができない状況が続くのであれば、「宿題」と呼んでいる教材の郵送費に充てる。「宿題」は、対面による臨床的教育介入を補足する手段である。
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