2019 Fiscal Year Research-status Report
子どもの深い科学概念構築を志向した理科授業デザイン支援に関する研究
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19K02713
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
小野瀬 倫也 国士舘大学, 文学部, 教授 (00609761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教授・学習プロセスマップ / 理科授業デザインシート / 教員研修 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度から2020年度初旬は授業デザインシート「開発の準備」の段階であった。既に蓄積している小学校,中学校の理科授業授業,また大学における教員養成に関わる授業の分析を行った。 ①蓄積されているデータの分析:理科授業デザインの視点を整理し,実践に向けて見出した授業デザインの視点を基に,理科教授・学習プロセスマップを開発した。この理科教授・学習プロセスマップの有用性を検討するために,理科授業デザイン時の学習指導案の記載内容と理科教授・学習プロセスマップを用いた省察(再構成)場面で追加された記載内容の差異点を,設定した質的評価の基準に照らして分析した。その結果,学生は具体的な活動場面は学習指導案に記載できるが,子どもの考えを基にした理科授業デザインを構想することには不慣れであること,「もともとの考え」が想定できるか否かで,理科授業デザインの構想に差異が生じること,学生はプロセスマップを用いて自身の授業デザインを省察(再構成)するなかで,子どもの考えの変容を想定する必要性に気づき,そのための具体的な手立てを追加する必要があると考えていたことが示された。さらに,授業の導入やまとめの場面で「子どもの考え」を適切に評価することの重要性や,それらの具体的な手法についても,大学教員や実習指導教諭が教員志望学生に指導すべきことであることも理解できた。 ②授業改善のための実践として,理科授業デザインの為の教員研修講座,教員養成課程における授業実践,学校研究などの場面において,教授・学習プロセスマップの適用を試みて一定の成果をあげた。 ③理科授業デザインシートの開発:教授・学習プロセスマップをベースに理科授業デザインシートの開発を行う上での課題について論文としてまとめることができた。 ④子どもの素朴概念:水溶液に関する子どもの素朴概念と理科授業による変容について検討し学会発表を通して意見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の授業データの整理を行い,研究論文としてまとめることが出来た。また,教授・学習プロセスマップを「理科授業改善の為の教員研修」「教員養成課程での学習指導案作りと模擬授業の構成」「総合的な学習の時間における学習指導案の構成」の場面に適用することによって,知見を得ることができた。一方で,2020年2月から3月にかけて実施を予定していた研究のための授業実践について,コロナ禍の影響によって実施することが出来なかった。また,現時点では公立学校授業の再開の見通しが立っていないことから,2020年度における研究の為の授業実践の目処が立っていない。2020年度の研究の遅れが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は理科授業デザインシートの開発準備の最終段階であり,中旬からは実践的検討を行っていくように予定されていた。しかし,コロナ禍の影響を非常に大きく受けている為に大幅な研究計画の見直しが必要になる。本研究は,理科の授業実践を要としている。まずは,研究協力者の学校の授業再開,教育センター等での教員研修の再開を待つしか無い。しかし,再開されたとしても学校のカリキュラムの大幅な変更が予想されるため,調整を行う必要がある。また,こうした状況に関連して教員の研修講座の実施についても見通しは立っていないのが現状である。 2020年度の研究の進め方においては,理科授業デザインシートの実践的検討の期間に位置づけられている。授業実践がままならない現状においては,2019年度までに蓄積された授業データのまとめ,分析を進めること。また,「素朴概念」「汎用的知識」「コミットメント」などをキーワードとして本研究の理論的な枠組みを補強していくことを考えている。また,大学における教員養成の場面では遠隔授業などにおける授業構成支援などについても模索していきたい。 以上を行いながら,本研究の成果を学会発表や論文としてまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響があり,2月から3月に予定していた研究授業が行えなかったため消耗品等に使用する予算が残った。本年度は,前年度に行えなかった研究授業を行うため,その分の消耗品を併せて購入する予定である。
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Research Products
(6 results)