2019 Fiscal Year Research-status Report
高等学校におけるESDと大学における異文化コミュニケーション教育の接続と開発
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19K02720
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
横溝 彰彦 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (00759962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真純 長崎大学, 経済学部, 准教授 (00304923)
吉武 正樹 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40372734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 異文化コミュニケーション / SDGs / ESD / エンパワーメント / 批判的教育学 / 人権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はSDGsの「人や国の不平等をなくそう」という目標に関する教育を研究対象としている。このSDGsに関して、高等学校で各教科を横断してどのように教授され得るのか、また高等学校と大学とでどのように連携して教授することができるのかの2点について、コミュニケーション教育の視点から考察して推進させることを目的としている。 初年度にあたる2019年度は、SDGsの教育実践や研究に関する情報を収集するために、文献調査や関連学会への参加、高等学校での視察を行った。まずは高等学校の検定教科書を分析し、上記SDGsに関するキーワードがどのように記述されているのか調査した。具体的には、コミュニケーション教育でも教授されている、不平等に関すキーワードを抽出して分析を行った結果、検定教科書の視点は教科の枠の中にとどまっており、偏りがあることを確認した。しかし文献調査や学会での情報収集によると、教育課程全体を概観してESDを推進させる報告は乏しく、地域に根差した環境問題や災害に関するSDGsについて学習させることが主流であり、人権に関するSDGsの教育が遅れていることが判明した。また、高等学校での授業見学や教員への聞き取り調査を行った結果、ESDに係る教育は各教科で個別に実施されており、教科を超えた連携は学校行事や総合学習の時間を軸にして行われることはあるが、普段の教科の授業では意識されない傾向にあるという示唆を得た。 これらの調査結果により、単発のイベント型学習ではなく普段の授業において、教科を横断した多様な視点を学習者に提示できる教育の可能性を模索していくという、今後の研究の方向性を定めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は教育実践や教育研究に関する情報収集を行い、それをもとに本研究の方向性を定めることが主なねらいであった。上記「研究実績の概要」に記載した通り、この点については予定通り進んでいる。 文献調査として高等学校の検定教科書の分析を行い、SDGsに関するキーワードがどのように記述されているか調査を行った。しかし、国内調査として、ユネスコスクールに登録されている高校を訪問し、担当教員への聞き取り調査及び授業見学を行った結果、教育現場の意見を本研究に反映させるために、検定教科書の分析を再度行う必要があると判断した。国外調査として海外の学会での情報収集を冬季に計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、次年度に延期したため実施できていない。研究分担者との打ち合わせはオンライン会議システムを活用して計画通り実施できており、収集した情報の共有や今後の研究の方向性について意見交換を行った。 本研究の基盤となる高等学校検定教科書の分析が完了していないため、進捗状況は当初の計画よりも、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ESDに力を入れている高等学校との連携を今年度も引き続き行い、そこで得られた示唆を取り入れながら、高等学校の検定教科書の分析を完了させる。 そのデータをもとに、「人や国の不平等をなくそう」というSDGsに関する教育内容が、各教科でどのように分布しているのかを明確にし、教科を横断した連携の方法を今年度の半ばまでに模索する。 その上で今年度の後半には大学のコミュニケーション関連教科書を分析し、高等学校での教育内容を土台とした高大連携の方法を模索する。 新型コロナウイルスの影響のため、高等学校への視察や学会での情報収集を含めた国内外への出張を実施できるかどうか不透明である。オンラインでの意見交換や文献での情報収集で代替させながら、本研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、国外学会へ参加できなかったため残額が生じた。次年度の国外学会への出張で使用する予定である。
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Research Products
(1 results)