2020 Fiscal Year Research-status Report
高等学校におけるESDと大学における異文化コミュニケーション教育の接続と開発
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19K02720
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
横溝 彰彦 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (00759962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真純 長崎大学, 経済学部, 准教授 (00304923)
吉武 正樹 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40372734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コミュニケーション教育 / 異文化コミュニケーション / SDGs / ESD / 教科横断 / 高大連携 / エンパワーメント / 批判的教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる今年度は昨年度に引き続き、「持続可能な開発目標」(SDGs)の10番目(SDG10)の「人や国の不平等をなくそう」に関するキーワードを高等学校の検定教科書から抽出してデータベースを作成し、各教科でどのように分布しているのかを整理して可視化した。さらに教科を横断した分析を行い、同一のキーワードが複数の教科で教授されている状況を明らかにした。また、キーワードがどのような視点から言及されているのかを分析し、高等教育で補うべき視点を考案した。 それらの成果の一部を、第27回日本コミュニケーション学会九州支部大会において、「高等学校家庭科・情報科・公民科に含まれるコミュニケーション学の領域 」と題して発表し、大学でコミュニケーション関連科目を担当している学会員に、高等学校の教育内容に目を向けて大学教育にいかすことの重要性を報告した。さらに、研究代表者が担当する授業で行った不平等に関する教育実践報告を「リベラルアーツ特論におけるコミュニケーション教育」と題し、全国の高等専門学校関係者が参加するKOSENフォーラムで発表し、SDGsに含まれる文系・社会科学系の内容を高等教育で教授することの重要性を指摘した。 また、従来のアプローチとは異なる視座から異文化コミュニケーション研究を再考するため、トランスカルチュラル・コミュニケーションという枠組みから多文化共生に関する考察を行い、「トランスカルチュラル・コミュニケーションとしての異文化コミュニケーション、トランスランゲージングと(マルチ)リンガ・フランカとしての英語(1): オンライン多文化共修の再概念化に向けて」と題した論文で『経営と経済』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、遠隔授業など校務の負担が増加した上、外部との連携に支障が出ているため、当初の研究計画より遅れている。終了を予定していた高等学校の検定教科書の分析は大部分を終え、その成果を学会で発表することができた。しかし、高大連携を模索するために重要な、大学の異文化コミュニケーション関連科目の教科書の分析はまだ終了していない。また、ユネスコスクール加盟校での参与観察及びESD担当者への聞き取り調査は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から実施できなかった。さらに、国内外の学会を中心をとした情報収集や意見交換も現地に出向いて実施することができず、オンラインで開催されたものに限定された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初3年間で本研究を終えるよう計画していたが、1年延長して4年間の計画に変更することを検討している。3年目は大学で公開されているシラバスを調査するとともに、関連学会の会員を対象にアンケートを実施し、大学の異文化コミュニケーション関連科目でどの教科書が採択されているか調査を行う。その結果をもとに分析対象とする教科書を数冊選定し、「人や国の不平等をなくそう」に関するキーワードを抽出して、高等学校での教授内容に接続させ、欠落した視点を補うなど高大連携の方策について分析を行う。4年目にはそれまでの研究成果をもとに共生を重要視する対話的な教育実践を行い、その手法などの研究成果を関連学会で発表することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、国内外の学会への参加や教育機関での現地調査を実施できなかったため、残額が生じた。次年度の出張で使用する予定である。
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Research Products
(3 results)