2020 Fiscal Year Research-status Report
教師の授業力量の熟達化過程の解明と効果・効率的研修プログラムの開発
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19K02728
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石上 靖芳 静岡大学, 教育学部, 教授 (50402227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熟達化 / 協同省察 / アクションリサーチ / 授業力量形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,第一に小学校における若手,中堅,ベテラン教師を対象に,授業力量の下位力量である「単元開発力」「授業展開力」「授業評価力」「単元再構成力」の4つの具体的力量が授業実践と同僚との協同省察の往還により,どのように学習が深化し,実践化が促進され,授業力量の熟達化が図られていくのか,その特徴を明かにし,生涯を通しての授業力量の熟達化過程のメカニズムを明らかにすることである。第二に明らかにした授業力量の熟達化のメカニズムを 適用・応用し,若手,中堅,ベテランの各年齢層に応じた効果・効率的な研修プログラムを開発することにある。研究2年目の本年においては、県内に公立小中学校の連携協力校があるため,A小学校,B,C中学校の3校の連携協力校において,協同してAR(アクションリサーチ)を実施した。A小学校においては,算数科の問題解決学習をテーマに12時間の単元開発を行い,ARを実施した。B中学校においては,技術科におけるプログラミング教育に関して3時間の単元の開発を行い,ARを実施した。C中学校においては,社会科の歴史的思考力の育成に関して6時間の単元の開発を行い,ARを実施した。そして授業観察,ビデオデータの収集,協同省察におけるリフレクション等を行い,ICレコー ダーによる協議の記録,実践に関する各実践者のインタビューデータ等を収集した。 現在,省察の視点を根底に授業力量の熟達化に関する分析を行っている。研究成果の一部は,学会発表,論文等にまとめ公表した。また,研究成果に関するリーフレット作成を行い, 関係教育機関に配布するとともに,大学のリポジトリにも登録して,その成果の普及に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師の授業力量形成に関する習熟度を検討するために,県内連携協力校小中学校において,アクションリサーチを実施した。このアクションリサーチは,プログラミング教育に関する、単元開発,算数科における問題解決学習に関する単元開発,社会科における歴史的思考力の育成に関する単元開発である。単元開発の事前検討から,授業実施後の省察記録,インタビュー等のデータを収集した。本年度は,小学校,中学校とバランスよく校種を選定でき,データを収集することができた。本年度の研究成果に関しては,その結果を学会発表するともに論文としてまとめ発表した。また,大学のリポジトリに登録し,成果の普及に努めた。効果・効率的研修プログラムの開発に関しては,早急に検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進に関して,令和2年度に関して収集したデータに関しては,単元開発,授業展開,授業評価,単元再構成場面における教材解釈や授業方略などの認知面,授業展開,発問,子供との応答などの授業技術面の向上,授業観の変容の側面から質的なデータを整理して知見を抽出していく。また若手,中堅教師との比較を通して,熟達化プロセスを包括的に検討し,生涯を通しての熟達化の特徴とそのメカニズムを検討する。得られた研究成果は,その成果を学会発表するとともに論文にまとめ公表する予定である。 また,本年度は小中学校の理科のアクションリサーチを行う予定である。小中学校ともに1学期に10時間程度,2学期に5時間程度,理科部の若手,中堅教師と協同でアクションリサーチを行い,授業後の省察記録等,年間を通してのデータ収集を行っていく。
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Causes of Carryover |
パーソナルコンピュータやタブレット端末等を購入したが,コロナウイルスにより,成果発表のための学会出張ができなかったり,海外出張ができなかったりした。そのため計上してあった予算を使うことができなかった。アクションリサーチに関わる出張も大学との近隣の学校等であったため,出費がいちじるしく抑えられた。次年度は,データ整理のための謝金やプリンタトナーなどの消耗品を購入し,研究推進に役立てていきたい。また,国内旅費も研究成果を学会発表するなど計画的に早めに利用していく予定である。
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