2021 Fiscal Year Research-status Report
3.11後のESD―いのちと暮らしの安全・安心を探究する家庭科の学びの構築―
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19K02736
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大矢 英世 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (50827441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自主避難家族 / 高濃度放射線廃棄物処分場問題 / シナリオ作り / 家族を取り巻く社会背景 / SDGs / 人権としての安全保障 / 情報リテラシー / 教育実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災原発事故後の生活課題に焦点をあてて授業実践を検討し、ESDの視点からいのちと暮らしの安全・安心を探究する授業構想および教材開発に取り組んできた。 その間、2020年初頭からの新型コロナ感染症拡大により私たちの生活を取り巻く社会の状況が大きく変化してしまった。このコロナ禍による私たちの生活不安は、福島原発事故後の安全保障の課題と大きくリンクしていると考えた。そこで、生徒の今を反映させ、コロナ禍によって浮き彫りとなった人間の安全保障に関わるさまざまな課題を家庭科におけるSDGsの学びにつながることを提案し、衣生活の視点から論文にまとめた。また、その視点を附属学校での授業実践につなげ、論文にまとめた。 令和3年の成果としては、大学の基礎教育科目として開講している現代社会の課題「くらしをみつめる」という授業において、東日本大震災原発事故後の生活課題についての学習活動を通した学生たちの変容の記録をとることができたことである。(受講生全員から、研究対象とすることの同意を得ている)。参加学生は、医学部、農学部、工学部、教育学部、地域資源創成学部とさまざまである。学生たちの学習活動のテーマとして、以下の2つを設定した。1つは福島原発事故による家族それぞれの葛藤を描く自主避難に向けた家族会議とし、もう1つは自分たちの居住地に湧き上がった高濃度放射線廃棄物処分場建設問題の市民会議とした。この2つのテーマについて、それぞれが登場人物の設定やその背景について、リアルな状況(社会のありよう)を調べながら、グループごとに設定し、シナリオを考え、そこに見える課題について考察をする学習活動に取り組んだものである。グループごとの学びについては、プレゼンテーションで全体共有させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により研究会に参加できなかったり、予定していた教員免許更新講習が中止になったりと、当初計画していた活動ができず、データを十分にそろえることができない部分ができてしまった。その分、福島原発事故後の暮らしの安全・安心に関わるこれまでの授業実践による生徒の意識変容について、KJ法およびM-GTAによる分析過程を詳細にまとめる作業を進めることに時間を使った。また、現代社会の課題「くらしを見つめる」の授業での学生の考え方の変化の過程を授業終了後に分析することろまでできなかった。その部分は、今後M-GTA等を用いて、分析する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年に担当した大学の現代社会の課題「くらしをみつめる」という授業において、東日本大震災原発事故後の生活課題についての学習活動を通した学生たちの変容の記録について、分析まで着手できなかった部分を質的に分析をして、論文にまとめる。 また、教育研究全国集会や、人権や民主主義の教育ネットワーク、生活と環境の学習会、家庭科教育研究者連盟の活動、原子力・エネルギーの教育研究会などへ積極的に参加して視野を広げ、生徒が主体的に考える家庭科の学びを構築し、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究会も対面で予定されており、これまで使用予定であったが全く使わずにきた交通費がかかる。また、図書のおよび分析ソフトの購入予定がある。
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