2023 Fiscal Year Annual Research Report
3.11後のESD―いのちと暮らしの安全・安心を探究する家庭科の学びの構築―
Project/Area Number |
19K02736
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大矢 英世 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (50827441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人権 / 原発事故 / 自主避難家族 / 核のゴミ / 高濃度放射線廃棄物の処分場誘致問題 / ESD / 家庭科の授業構想 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災原発事故後の生活課題に焦点をあてて、授業実践を検討し、ESDの視点からいのちと暮らしの安全・安心を探究する家庭科の授業構想、教材開発に取り組んだ。本研究における成果としては、これまで高校家庭科の授業で取り組んできた授業実践を発展させて、原発事故から13年経過した今も解決できていない生活を取り巻く社会の課題に向き合う授業を構想し、その授業分析を行ったことである。大学1年生を対象に15回の授業を行い、学生たちの思考の変容について質的分析を行った。授業を実施したのは、基礎教育科目として設定されている「現代社会の課題『暮らしを見つめる』」という授業科目だが、これまで高校家庭科の授業で実践してきた内容とリンクしている。したがって、家庭科の授業内容としても成立するものであると考える。授業は、教師主導で進める場面を極力少なくして、2つのグループワークを中心に進めた。1つは、グループごとに家族設定を行って、自主避難家族の生活から社会の課題に迫っていく活動である。自主避難区域がどこであったのかを調べ、実際の被災地の状況を理解したうえで、家族の暮らしの問題から社会のあり方を考え問題提起するプレゼンを実施した。2つめは、核のゴミ問題に視点をあてて、学生自身の居住地に高濃度放射線廃棄物の処分場誘致問題が発生したと想定して、賛成派・反対派を自分たちで設定し、処分場誘致問題の市民会議のシナリオを考える活動である。これらの原発事故にまつわる学修活動を通して、学生たちは、ほとんど予備知識の無い状態から始まり、何が起きて今どのような暮らしの課題があるのかを自分たちで調べ、議論し、深く検討することを体験した。課題に取り組む中で、多くの学生が、情報をそのまま受け取るのではなく、その背景を深く読み取り考え、皆で熟議を積み重ねていくことの大切さに気づくことができていた。
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[Journal Article] 「かかわる力」「つながる力」を育成する中学校家 庭科の授業構想 ー生徒の内面にせまる高齢者学習をめざしてー2023
Author(s)
大矢, 英世, 宮本, 由宇, 今村, 愛実, 鍛冶屋, 茜, 伊波, 富久美, 藤本 明弘
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Journal Title
宮崎大学教育学部紀要
Volume: 101
Pages: 76-88
Open Access
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