2019 Fiscal Year Research-status Report
中等教育における「相互発達モデル」に基づく数学科授業に関する開発的研究
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19K02737
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 武志 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (60239895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学教育 / 相互発達モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は,研究代表者がこれまでの研究を通じて理論的かつ実証的に策定した「数学的意味と数学的表現に関する相互発達モデル」(以下,相互発達モデル)に基づいて,生徒どうしの社会的相互作用の充実・促進という視座から,中等教育における数学科授業に関する構成原理,授業モデルを提案することである。本研究の具体的な研究課題は,次の3点である。 (目的1)相互発達モデルに基づいて,中学校における統計教材に関する授業モデルを策定し,研究授業を通じて,その有効性を検証すること。 (目的2)相互発達モデルに基づいて,高等学校における三角比・三角関数の教材に関する授業モデルを策定し,研究授業を通じて,その有効性を検証すること。 (目的3)目的1および目的2の実証的研究の結果をもとに,中等教育における相互発達モデルに基づく数学科授業に関する実践的原理を理論化すること。 以上のような3つの研究目的のもと,2019年度の研究では,主として,上述の目的1にかかわる理論的研究を行った。具体的には,中学校第2学年において新たに扱われることになっている「箱ひげ図」の指導について検討した。まず,「箱ひげ図」を中心に,統計教材の指導に関連する先行研究を収集,検討した。また,本研究とは独立して実践された「箱ひげ図」に関する研究授業を参観,録画し,相互発達モデルの視座から,「箱ひげ図」に関する指導上の課題を整理した。その上で,相互発達モデルの視座から,「箱ひげ図」に関する一連の指導過程や指導上のポイントの概要をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究では,「箱ひげ図」を中心に,統計教材の指導に関連する先行研究を収集,検討した。また,「箱ひげ図」に関する授業の実際を録画し,相互発達モデルの視座から,「箱ひげ図」に関する生徒の理解の実態や指導上の課題を分析した。その上で,「相互発達モデル」に基づいて,「箱ひげ図」に関する授業改善案や指導上のポイントを整理することができた。以上を総合的に考慮して,研究が「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究では,2019年度に検討した「箱ひげ図」の授業改善案を実践し,授業改善案の有効性,妥当性を検証したいと考えている。また,目的2にかかわって,高等学校における三角比・三角関数の教材に関する授業改善案を検討,策定する予定である。
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Causes of Carryover |
学会等への出席のための旅費を計上していたが,公務の関係で,予定していた学会等に出席することができなくなった。主として,こうした理由により,次年度使用額が生じた。この次年度使用額については,数学教育関係の文献の購入費や学会等に関する旅費に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)