2021 Fiscal Year Research-status Report
中等教育における「相互発達モデル」に基づく数学科授業に関する開発的研究
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19K02737
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 武志 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (60239895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数学教育 / 相互発達モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は,研究代表者がこれまでの研究を通じて理論的かつ実証的に策定した「数学的意味と数学的表現に関する相互発達モデル」(以下,相互発達モデル)に基づいて,生徒どうしの社会的相互作用の充実・促進という視座から,中等教育における数学科授業に関する構成原理,授業モデルを提案することである。本研究の具体的な研究課題は,次の3点である。 (目的1)相互発達モデルに基づいて,中学校における統計教材に関する授業モデルを策定し,研究授業を通じて,その有効性を検証すること。 (目的2)相互発達モデルに基づいて,高等学校における三角比,三角関数の教材に関する授業モデルを策定し,研究授業を通じて,その有効性を検証すること。 (目的3)目的1および目的2の実証的研究の結果をもとに,中等教育における相互発達モデルに基づく数学科授業に関する実践的原理を理論化すること。 以上のような3つの研究目的に対して,2021年度の研究では,主として,上記の目的3にかかわって,相互発達モデルに基づく数学科授業の実践的原理の検討を進めた。具体的には,研究期間の初年度から続いている新型コロナウイルスの影響により,目的1及び目的2にかかわる授業実践の検討が十分に実施できない状況にあったことをふまえ,2021年度の研究では,相互発達モデルに基づく実践的原理にかかわって,以下の2つの研究に取り組んだ。第一は,2019年度,2020年度の研究に引き続いて,中学校における統計教材に関する授業モデル及び高等学校における三角比,三角関数の教材に関する授業モデルの検討を行った。第二は,相互発達モデルの理論的基盤となっている各種の認識論の視座から,教師の数学観や算数・数学科の授業観が与える授業構成,授業研究への影響などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は研究計画の最終年度であったが,新型コロナウイルスの影響により,目的1及び目的2にかかわる実験授業について十分に検討できなかった状況にある。そのため,2022年度まで研究期間の延長を申請している。一方,これまでの研究において,中学校における統計教材や高等学校における三角比,三角関数の教材に関する文献的な検討などについては一定程度行っているため,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究では,本研究において検討を進めている具体的教材に関する考察結果をもとに,3つの目的(目的1~目的3)について総合的に研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は3年間にわたる研究の最終年度であったが,新型コロナウイルスの影響により,実験授業の実施及びその考察など,研究計画の一部を十分に実施できなかった。そのため,2022年度まで研究期間の延長を申請している。2019年度及び2020年度に引き続き,2021年度も,新型コロナウイルスの影響により,参加を予定していた学会等がオンラインによって実施されることになったため,繰り越しとなった予算は, 2022年度における数学教育関係の文献の購入費や学会等に関する旅費にあてる予定である。
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