2019 Fiscal Year Research-status Report
Research of curriculum management on PBL type integrated learning linked with AL type subject learning
Project/Area Number |
19K02738
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
広石 英記 東京電機大学, 工学部, 教授 (80246652)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | PBL / プロジェクト学習 / カリキュラムマネジメント / 能力観の転換 / 学習手法の転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
新学習指導要領によって、資質・能力(コンピテンシー)の強調、それに呼応した学習手法である「主体的、対話的で深い学び」、教科特有の「見方・考え方」の重視など、わが国でもやっと自律的で主体的な学習者の育成という新しい学びの展望が拓かれた。 そのような自律的学習者の育成に特化した学習手法の一つが、PBLである。教育行政の強力なリーダーシップもあり、我が国ではアクティブラーニング型の教科学習に関する研究・研修は盛んになって来ている。総合的な学習や探究の時間に関しても、様々な試みが散見されるようになり、主として海外で発達してきたPBLの手法(教師が学習者の取り組む現実的で複雑な課題を意図的に作成・提示し、知識や技能の熟達を志向する問題基盤型学習(Problem-based Learning)と、学習者が自ら現実的課題を発見・設定し、汎用的能力の獲得と学びの意義の再確認を志向するプロジェクト型学習(Project-based Learning))の知見も、中等教育に導入されようとしている。 本研究では、この定着しつつあるAL型教科学習とPBL型探究学習の相互作用を最大限発揮できるカリキュラムマネジメントのあり方を調査・探究することである。2019年秋には、全教科学習をPBLとして再構成しているミネソタ州のEdvison系列校を視察するとともに、カリキュラムメネジメントを作成・提供しているEdvisonのオフィスに調査研究に赴き、資料収集とインタビューを行った。 また、本研究で得た知見を、いち早く我が国の教育現場に紹介すべく、複数の招待講演(鹿児島大学、名古屋市教育委員会、日本私学教育研究所)を行うとともに、教育方法学会においても学会発表(PBLの問いをデザインする)し、広く自律的学習者を育む教育手法を紹介するために著作物(学びを創る・学びを支える)を刊行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の秋には、海外で最も先進的なPBLを展開しているミネソタ州のEdvison系列校であるミネソタニューカントリースクールをはじめとした様々なPBL実践校(小学校、中学校、高校)および教育支援NPOに訪問ができ、児童・生徒へのインタビュー、教員や管理職教員へのインタビュー、カリキュラムマネジメントに関する資料の収集ができ、現在、その分析や研究を行っている。 特に、スクールトリップ(我が国でいう修学旅行と自然体験学習を複合させたもの)をカリキュラムの機軸において、教科のアクティブラーニングのみならず、市民教育、道徳教育などを融合させた系列高校の取り組みは、今後の我が国のカリキュラムマネジメントを検討する際に、新しい展望を開く試みとして今後、調査研究を重ねたい。 しかし、冬以降、新型コロナ感染症の拡大により、日本国内のPBL実践校への調査研究が実質的に不可能になり、その分の比較研究の資料収集に遅れが出つつある。今後、しばらくは、過去に収集した資料の検討を行いたい。 研究の成果発表に関しては、自身が所属するNPO(日本PBL研究所)が開催したPBLメッセでの基調講演(専門と教養をむずぶPBL)をはじめ、各種の講演、研修会の講師をつとめ、その知見の普及をはかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
冬以降、新型コロナ感染症の拡大により、日本国内のPBL実践校への調査研究が実質的に不可能になり、その意味では、米国やヨーロッパのPBL実践校と我が国のPBL(一部)実践校との比較研究の資料収集に遅れが出つつある。 ただし、一昨年訪問した北欧(スウェーデンやフィンランド:教育省も含む)への訪問調査で収集した資料、昨年の米国のPBL実践校で収集した豊富な資料もあるので、フィールドワーク(学校への訪問調査)が困難な期間に関しては、まだ解析や検討が十分でない資料もあることから、今後、しばらくは、過去に収集した資料の検討を行いたい。 合わせて、海外の研究論文や実践報告なども調査研究し、フィールドワークが再開できた時のための予備調査を進めていく。
|
Causes of Carryover |
海外のPBL実践校への現地訪問調査に関しては、訪問校および訪問校数の確定は、先方の学事日程との調整があり、多少の増減があり、許容される範囲内での予算と使用額の差異である。
|
Research Products
(4 results)