2019 Fiscal Year Research-status Report
高等学校理科の生物基礎における実施率を向上させるための簡易免疫実験の提案
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19K02742
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 教授 (00456617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食作用 / 昆虫 / 血球 / 高等学校 / 生物基礎 / in vitro法 / アワヨトウ / 蛍光インク |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の目的に従い以下の1と2の結果を得た。 1.これまでに開発した「昆虫の血球を使った食作用の観察・実験」において、今年度高等学校で計3校17時間に及ぶ授業実践を行い、生徒にアンケートをとったところ、100%の生徒が、アワヨトウ幼虫の血球が異物としての墨粒を、細胞内に取り込み食作用している様子を観察することができた。そのうち42.9%の生徒は自分で見つけることができたが、57.1%の生徒は先生やアシスタントの学生の手助けが必要であるという結果を得た。そこで異物を墨粒から蛍光インクに変更し、顕微鏡上の試料にUVライトを照射して観察・実験を行ったところ、誰でも一目で血球による食作用を観察できる教材を開発することができた。 2.「昆虫の血球を使った食作用の観察・実験」の高等学校での実践を行う場合、実験を行う場合の生徒の昆虫に対する抵抗感と異物の注入や血液の採集など小さな昆虫の取り扱いが問題になる。そこで、高等学校に供給する際、昆虫そのものではなく昆虫の体液を供給し、これまでに開発したin vitro法を使って観察・実験を行えばこのような問題が解消されると考えられる。そこで、アワヨトウ幼虫から体液を採集し、できる限り血球が本来の機能を失わずかつ長時間保存できる方法を検討した。まだ検討中であるが、冷蔵庫(4℃)に保管し、血漿のメラニン化を阻止するために8%のフェニールチオ尿素を加えると72時間血球の食作用などの機能を維持できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の目標として掲げた1)材料として使う昆虫種および血球種と異物の検討および2)血球および培地の保存の検討については、研究実績の概要で述べたように培地の検討を除きおおむね順調に成果を得ている。しかし3)in vitro実験を行うための培地の検討はまだ行っていない。これは2)の血球および培地の保存の検討と同時に行わなければならない内容なので、今後引き続き検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の目標は令和元年度に行われなかった課題の検討と、1)昆虫の血球の食作用をリアルタイムで観察できるin vitro実験法の開発を最初に遂行する。この検討は令和元年度開発した血球による食作用の観察を、異物としての蛍光インクにUVライトを当てて見る方法を基に検討する。-(中松、澤担当)さらに2)走査型電子顕微鏡(SEM)の低真空における画像の適否の検討を行う。これは血球による食作用の瞬間をより詳細に観察するため、まずは固定した試料を用いて写真撮影し、これらがこの探求活動の教材として適しているかどうかの検討を行う。-(中松、澤担当)さらに3)無固定観察技術を使った昆虫の血球表面を被う薄膜の検討についてはかなり高度な技術を擁するので、研究協力者の名古屋大学の大井氏とともに検討する。-(中松、澤、大井担当)
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Causes of Carryover |
昨年度、昆虫の血球を各高等学校に供給する手段として、昆虫の体液のみの配布の検討を行った。アワヨトウの体液の保存方法は一部検討するに至ったが、この血球を保存用の培地に移し替えての検討を行うことができなかった。したがってこの経費を今年度に使用したいと考えている。
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Research Products
(7 results)