2020 Fiscal Year Research-status Report
体育授業における対話的学習活動の可視化によるフィードバックシステムモデルの構築
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19K02748
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| Research Institution | Hokkaido University of Education |
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Principal Investigator |
中島 寿宏 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10611535)
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2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | コミュニケーション / 体育授業 / 授業カンファレンス / オンライン検討会 / フィードバック |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では，小・中学校の体育授業での授業改善を目指して，(1)コミュニケーションの可視化データを授業者に提示する授業フィードバックシステムモデルの構築，(2)フィードバックシステムの効果検証，および(3)児童生徒の学習成果の検証することを目的としている.
2020年度は，新型コロナウイルス感染拡大の影響から小学校や中学校での調査が困難であると考えられたが，結果として予定されていた調査を実施することができたことは大きな成果であった．2020年度は，研究代表者の勤務大学の附属小学校・附属中学校において，体育授業でのコミュニケーション調査を実施し，その結果をSlackで共有することで，オンライン上での授業カンファレンスを実施した．授業者，大学教員，公立の小中学校教員がカンファレンスに参加して，オンラインでのディスカッションが実現した．オンライン上ではディスカッションのポイントが焦点化しやすく，授業改善に向けた具体的なフィードバックを行うことが可能であった．一般的な対面での授業見学および授業検討会と比較して，議論の結果がその後の授業に直接的に効果を発揮すると考えられる．
2020年度では，札幌市内の公立小学校および公立中学校において，熟練教師と若手教師の体育授業について，単元を通した調査を行うことで，熟練者の授業技術について多角的な検証を実施した．その結果として，熟練者は授業内で多くの発問を行うことで児童生徒が思考することを促す関わりが多いことや，単元終了時の児童生徒の変容を想定した授業づくりを行なっていることが明らかとなった．
今年度の研究結果については，日本スポーツ教育学会第40回学会大会，第9回大阪大学COIシンポジウム，令和2年度日本教育大学協会研究集会，The 2020 Yokohama Sport Conferenceなどの複数の学会大会で報告を行なった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では，2020年度は1)調査対象校で2019年度に実施したパイロット調査に引き続く本調査の実施，2)北海道教育大学附属学校における調査プロトコルの確立と授業カンファレンス実施による授業改善サイクルの確立，3)体育授業における授業改善による学習効果向上の調査検証，という3つを研究の柱としていた．新型コロナウイルス感染拡大の影響によって調査開始時期に若干の遅れがあったものの，結果としてこれら3つについてはおおむね順調に成果を得ることができたと考える．複数の学会大会での公表およびシンポジウムでのディスカッションに繋げることで本研究課題の成果について広く伝えることができたことから，「おおむね順調に進展している」と判断した．今年度の調査・研究による成果として特に重要と考えられることに，これまで実践例のないオンライン上での授業カンファレンスの実施と効果検証が実現することができたことが挙げられる．教育現場では各教員が集合して会議やミーティングを行う時間の確保が難しいという問題があるが，オンライン上でオンデマンドでの授業カンファレンスの実現可能性を示すことによって，新しい形式での授業カンファレンスシステムの実装が期待されることとなった．新型コロナウイルス感染防止の観点からも，対面せずに授業改善のためのディスカッションの実現は重要であると考える．
さらに，2020年度では本研究課題について，北海道教育委員会・札幌市教育委員会と連携した授業改善事業を実施することができた．北海道教育委員会との連携では，体力向上推進事業の一環として，北海道全域の体育専科教員を対象とした体育授業改善のミーティングを実施し，本研究課題によって得られた授業改善のための手立てについて参加者と意見交流することができた．2021年度はさらに対象を広げて，さらに回数も多く実施することが予定されている．
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では，小・中学校の体育授業での授業改善を目指して，授業状況の可視化，教師の指導技術の可視化，学習成果の可視化という3つの可視化を中心としている．これら3つの可視化については，これまでの調査・研究から成果が得られていると考えられる．2021年度は最終年となるため，これまで得られている結果についての追加検証を進めることでより確実な成果とすることを予定している．また，これまでは大学附属の小学校・中学校での調査が中心的であったが，調査対象を実際の公立学校に拡大し，より広汎性のある検証結果を得ることを目的とした調査を推進することとする．すでに札幌市内および近郊での調査対象となる学校からは承諾を得ている．新型コロナウイルスの感染拡大がみられている状況であるが，可能な範囲で調査を実施していくこととする．
さらに，本研究課題で明らからになった教師の指導技術の詳細について，札幌市内および北海道内にいる現職教員たちに伝える活動を進めることも計画する．特に，札幌市教育委員会，北海道教育委員会，北海道立教育政策研究所などと連携した授業改善セミナーや，校外からも参加可能なオンラインでの授業研究会などを実施することで，研究成果の教育現場への伝達や授業改善カンファレンスシステムの社会実装の実現を図ることとする．
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Research Products
(24 results)
