2023 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の自己肯定感を高める音痴克服のための歌唱指導教材の開発
Project/Area Number |
19K02749
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
小畑 千尋 文教大学, 教育学部, 教授 (20364698)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音痴克服 / 中学生 / 自己肯定感 / 歌唱指導 / 内的フィードバック / 縦断的研究 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歌唱における生徒自身の内的フィードバック能力(自分自身の音高・音程に関する認知)向上と生徒の心理面に着目し、中学生の自己肯定感を高める音痴克服のための歌唱指導教材の開発を行うことである。 最終年度及び期間全体を通じて実施した研究の主な成果として、まず、研究協力校であるB中学校において、約160名の生徒を対象に縦断的調査を実施した。具体的には、音痴意識に関する質問紙調査、及び歌唱技能についての個別調査を、中学1年次から3年次までの3年間に計4回実施した(全4回に参加できた生徒は148名)。 1年次11月と2年次11月の結果を比較すると、歌唱技能の個別調査では、声によるピッチマッチができた生徒が、84.5%と85.8%、内的フィードバックができた生徒は、共に89.2%であったが、自分自身を「非常に『音痴』」もしくは「少々『音痴』」だと思う割合は、40.5%から51.4%へと増加した。2年次男子の「音痴」意識と変声との関連については、「変声期に入っていないと思う」と「現在変声中だと思う」との間でt検定を行った結果、有意差はみられなかった。また、「現在変声中だと思う」と「変声期を終えたと思う」との間にも、有意差はみられず、本調査からは、変声を男子が自分自身を「音痴」だと思う直接の原因として特定できないことも明らかとなった。本調査は中学生の歌唱の発達及び「音痴」意識を中心とした歌唱活動における心理面の解明に大きく寄与するものと考える。 これらの研究成果を基に作成した教材を用いて、C中学校において、166名を対象に検証授業を行った結果、「音痴」に対する認識が「大変変わった」に53.0%(88名)、「やや変わった」に41.0%(68名)が回答し、教材の有効性が示された。
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