2020 Fiscal Year Research-status Report
リテラシーを視座とする学校数学における出口の課題:数学的活動から数学的リテラシー
Project/Area Number |
19K02754
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 好貴 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40624630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 秀樹 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 名誉教授 (50116539)
杉野本 勇気 長崎大学, 教育学部, 准教授 (40637477)
大滝 孝治 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90750422)
大谷 洋貴 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (40825238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リテラシー / 数学的リテラシー / 中等教育 / 数学的活動 / 数学的モデル化 / 論証 / 統計的探究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、リテラシーの視座からみた中等教育段階における数学的活動の明確化である。初年度(2019年度)には、中等教育数学において,育成すべき数学的な資質・能力について,数学的リテラシーという視点から考察し、その概念を明確化し理解を共有することを目的とし、中等教育数学において、数学的モデル化と論証の接点こそ、機械やAIには代行できない領域であり、そのような現実と数学の間を架橋しうる思考の構成が,今日的な数学的リテラシーとして求められることを同定した。さらに、その具体として、統計的探求をキーワードに、具体的な教材に基づく数学的活動の記述をおこなっている。2年目となる2010年度では、前年度に同定した数学的活動のキーワード「数学的モデル化」「論証」「課題設定」、「検索」という視点から、今日的な数学的活動のあり方にアプローチした。 その目標の達成のため、2020年9月に第1回の研究集会を開催し、研究メンバーのそれぞれの観点からの相互の発表を基に、数学的活動について議論し、その概念の共有を図った。前年度同様に、目標論からの理念的アプローチとして数学的モデル化や論証の視点から、また具体的な教材・活動の視点からのアプローチとして統計・確率の教材について議論している。前者に関する成果として、これまでの問題解決学習との対比から、数学的探究として課題設定や論証が契機になることを明確化している。後者に対して、「モンティ・ホール問題」を教材として論証のあり方を考察している。それぞれの研究成果は、学会で発表しており、そこでの議論を通して、研究を進展させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の主な研究活動及び研究成果は,数学的活動の明確化であった。上述の成果は,当初の研究計画に概ね合致するものであり,またそれぞれの研究成果は学会等で発表を行なっていることから,「概ね順調に進展している」と判断される。しかし、当初、対面での研究会合を2回予定していたが、コロナ禍の影響から、オンライン(zoom)で1回しかおこなうことができなかった。そのため、2つのアプローチの接続や課題の明確化をおこなうことができず、この点を2021年度にカバーする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでに得られた知見から学習指導要領・教科書、さらには実際の授業実践を分析することで、現行カリキュラムにおける課題を同定する。その上で、その課題を解決し、求められる数学的活動をおこなうための教授単元を開発し、中学校・高等学校において実践をおこない、その可能性を探るとともに、本研究の目的となる数学的活動の理論化を図る。そのために、本年度は、2回の研究集会を予定しており、全国数学教育学会、日本数学教育学会で研究成果を発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
当初、対面での研究会合を2回予定していたが、コロナ禍の影響から、オンライン(zoom)で1回しかおこなうことができなかった。また、学会も中止やオンライン開催になり、旅費の面で次年度使用額が生じた。今年度の状況にもよるが、オンラインでの円滑なコミュニケーションができるための環境整備に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)