2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing the teaching material for clothing-life education with contents of Okinawa specific features: Especially fo the practicum of weaving and dyeing in home economics.
Project/Area Number |
19K02765
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 由香 琉球大学, 教育学部, 教授 (70259274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 沖縄 / 紅型 / 染め実習 / 家庭科 / 衣生活教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、琉球紅型の教材研究をテーマとして研究をおこなった。伝統的な紅型の工程は、図案、型彫り、紗張り、型置き、色差し、隈取り、水元、糊伏せ、地染め、水元に分けられるが、その工程を伝統的技法から簡易的技法まで3段階に分けて、試作し、教育方法を整理・検討してから、小学生、大学生、一般社会人、家庭科教師を対象に授業をおこない、工程と教育方法の見直し、整理をおこなった。それらの3段階の技法に分けて、実施した詳細を以下に述べる。 ①伝統的紅型技法:図案、型彫り、紗張り、型置き、色差し、隈取りまでをおこない、地染めしない白地のハンカチ染め実習をおこなった。対象者は、大学生(「沖縄生活文化論」履修者)16名で、90分授業4コマで完成した。色は、調合した顔料を使用した。 ②摺り込み(ステンシル)技法:図案、型彫り(紅型と彫りを反転)、色差し、隈取りをおこない、型紙の彫った箇所に色差しをする方法で、試作、教育方法を検討し、一般社会人(公開講座と教員免許状更新講習受講者に染めたワンピース製作、90分2コマ)12名、小学生(那覇市内小学校でハンカチ染め、45分2コマ)33名を対象に授業をおこなった。色は①と同じ顔料をつかった。小学生には型彫りに、カッターナイフではなくハサミをつかった。 ③描き絵技法:合成染料をつかい、筆で自由に描く方法をおこなった。大学生(生活科学教育専修学生、90分1コマ)12名を対象に、ハンカチにカチンペン(水洗いで消えるペン)で文様のアウトラインを描いてもらい、筆で染料をつかって絵を染める実習をおこなった。 以上、3つの技法は、実習時間や難易度を調整することができ、有効であると考えている。どの実習も、履修対象者に、大変興味深く楽しいと好評であった。今後、この結果を論文にまとめるとともに、イラストを入れた紅型とそのアレンジ技法についてのマニュアル・ブックを作成したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画については、琉球紅型の教育方法のマニュアル化をテーマとしてきた。その結果、5で述べた3つの技法にまとめることができ、それぞれの技法について、さまざまな世代の受講者に、実習教育をおこなうことができた。それぞれの技法に見直すべき課題が見つかったものの、受講者の評価は、おおむね好評であった。自分の好きなデザインで布を染めて、日常につかえるものをつくるという点が、美術絵画にはない新鮮な感覚につながったと考える。 この琉球紅型の教育方法のマニュアル化については、それぞれの技法について、写真やイラストを用いてビジュアルなマニュアルを作成したい。そして教育方法の検討から、実習教育実践の方法、マニュアル作成までをまとめ、大学紀要などへの論文を作成し、投稿したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の琉球紅型の実習教材のマニュアル化について、大学紀要などへの論文としてまとめ、投稿をめざしたい。 2020年度の研究テーマは、「沖縄の糸づくりの教材研究」である。沖縄の染め織りの代表的な繊維素材である糸芭蕉、苧麻、綿、絹の4種をとりあげ、栽培、育成、収穫から糸づくりまでの方法を、まず文献で調べ、できれば栽培、育成から実践し、繊維の採り方、糸づくりのしかたについてまとめていきたい。 糸芭蕉、苧麻、綿の栽培については、教育学部敷地内の技術科教育から畑スペースを借り受けているが、沖縄に独特の事情(昨年、猛毒をもつハブの目撃情報があった)があるため、その方法について再検討したい。 「沖縄の糸づくり教材研究」については、教育学部の専門教育科目の授業なかでも取り上げる予定で、履修学生とともにおこなっていきたい。
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